ベルギーの独立系先端半導体研究機関imecと、露光装置大手のASMLは6月28日、ベルギーのimecキャンパスにおける最先端の高NA EUVリソグラフィ パイロットライン設置などに関する覚書(MOU)を締結したことを発表した。

今回署名された覚書によると、imecの300mmパイロットラインにASMLが最先端のEUV/DUVリソグラフィ装置および計測機器一式を設置し、フルサービスを提供するという。

  • imecとASMLの覚書締結式の様子

    imecとASMLの覚書締結式の様子。左がASMLの社長兼CEOであるPeter Wennink氏、右がimecの社長兼CEOであるLuc Van den hove氏 (出所:imec)

具体的には、以下の装置の設置が予定されているという。

  • 高NA(NA=0.55)EUV露光装置(TWINSCAN EXE:5200、2025年以降初出荷予定の装置)
  • 最新のNA=0.33 EUV露光装置(TWINSCAN NXE:3800、2023年後半出荷予定)
  • 最新ArF液浸露光装置(TWINSCAN NXT:2100i)
  • Yieldstar光学計測装置およびHMIマルチビームウェハ検査装置
  • ASMLのEUV露光装置の出荷ロードマップ

    ASMLのEUV露光装置の出荷ロードマップ (出所:ASML)

両者によると、この覚書は高NA EUVに関するASMLとimecの協力関係を次の段階に進めることを意味するものだという。imecとASMLのプロセス共同研究の第1段階は、ASML本社キャンパスに接した「imec-ASML High NA Lab」で最初の高NA EUV露光装置の試作機(TWINSCAN EXE:5000)を用いる形ですでに進められている(図3)。

両者は、最先端半導体チップメーカーおよび材料/装置のエコシステムパートナーと協力し、大量生産における可能な限り迅速な採用に向けて高NA EUV露光技術を準備することを目指しており、第2段階となる今回の取り組みは、imecキャンパスの300mmパイロットラインに高NA EUV露光装置の量産機(TWINSCAN EXE:5200)を用いたものとなるとする。

なお、この計画は、社会的課題に取り組むイノベーションを強化するという欧州委員会およびその加盟国による計画(欧州CHIPS法およびImportant Projects of Common European Interest(IPCEI))と一致するもので、この取り組みの一部は、現在オランダ政府によって検討中のIPCEI提案に盛り込まれるという。