TSMCは、NVIDIAをはじめとするHPC関連の顧客から、AI関連半導体の短納期(Super Hot Run)による大量注文を受けたが、そこで活用される先進パッケージング技術「CoWoS(Chip on Wafer on Substrate)」の生産能力がひっ迫しているため、大手OSATの台湾ASE(日月光集団)に一部を委託したと見られると台湾の経済紙である經濟日報が報じている。
TSMCとASEは、顧客情報や注文情報についてのコメントは出していないほか、CoWoS事業や先進パッケージングの粗利率に関するデータを示していないが、業界内では粗利率は20%~30%程度と推定されており、短期の緊急注文の場合は外注したほうが割が良いと考えられているという。ASEの平均粗利率は14%~15%ほどとされており、20%~30%という粗利率は、それを上回る値であるため、非常においしい事業と見られるという。
TSMCでは2012年より、CoWoSパッケージング技術を導入し、ウェハファウンドリからパッケージングまでのワンストップサービスを顧客に提供してきたが、最近は供給が需要にまったく追い付いていない状況だという。
TSMCのMark Liu会長は、先日開催された株主総会にて、先端パッケージングの現況について、ChatGPTによって生成AIがトレンドとなり、生成AI分野からの需要が急増したことから、先端パッケージへの対応および技術に対する需要の増大につながっていると述べている。需要が既存の対応能力をはるかに超える状況のため、TSMCでは現在、生産能力の増強を図っていると述べていたが、もはや社内だけでは処理しきれずOSATへの製造委託も進めつつある模様である。