半導体産業市場調査会社であったVLSI Researchは、過去30年以上にわたって半導体製造装置企業の売上高ランキングを発表してきたが、加TechInsightsに買収された2022年以降は同社の顧客のみへ限定公開される形に変更された。今回、VLSI Research創業者で、現在はTechInsights副会長を務めるDan Hutcheson氏の好意により、この最新版の公開許可を得たので紹介したい。

  • 2022年の半体製造装置メーカー売上高ランキングトップ10

    2022年の半体製造装置メーカー売上高ランキングトップ10 (出所:TechInsights)

トップ10は米国勢4社、日本勢4社、オランダ勢2社で構成

2022年の半導体製造装置メーカーの売上高トップ10を見ると、1位は前年同様のApplied Materials(AMAT)。同社は先ごろ、シリコンバレーに業界最大級のクリーンルームを含む研究開発センターを設置し、顧客である主要半導体メーカーと共同で試作ラインを設けることで次世代プロセス開発を行い、その実績をそのまま各社の量産ラインに移行しようという意欲的な計画を発表している。

2位はASMLで、EUV露光装置の供給に生産が追い付かない状況で、生産能力を増やしている。2024年には、高NA EUVも出荷が開始される予定で、今後も売上高を伸ばすことが期待されている。3位はLam Researchで、成長ボリュームゾーンの先端ドライエッチング装置の売り上げが顕著に増加しているという。

ランクインした上位10社は2021年版と変化はなく、所属国別で見ると、米国勢が4社、日本勢が4社、オランダ勢が2社という構成となっている。順位の変動としては、1~7位および9位に変動はなかったが、前年10位のASMIが8位に上がった代わりに同8位だったTeradyneが10位に後退している。

日本勢は4位に東京エレクトロン(TEL)、6位にアドバンテスト、7位にSCREEN、9位にKOKUSAI ELECTRICとなっているが、11位以下には、日立ハイテク、キヤノン、ディスコなども続いていることが予想される。

ただし、トップ10社の売上高合計を国別で比較すると、米国勢はシェア43.3%、オランダ勢が37.5%、日本勢が19.2%となり、日本勢は4社ランクインしているものの、米国勢の半分以下の売り上げにとどまっている。

また、半体製造装置メーカー売上高ランキングトップ10を先だって発表している中CINNO Researchのデータと比較すると、SCREENとアドバンテストが入れ替わり、8位にはKOKUSAIの代わりに日立ハイテクが入っている点が異なる。各企業ごとの半導体製造装置の範囲の定義が調査会社によって異なっていることが影響しているのかもしれない。

半導体製造装置市場全体で50%のシェアを有する米国勢

トップ10のみならず業界全体で見ると、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の最新の調査では、2022年の本社別地域・国別シェアは米国が50%、日本が23%、欧州が21%、中国および韓国がそれぞれ3%前後であったという。日本は2位であるものの、そのシェアは米国の半分以下であり、「日本は半導体製造装置が強い」「日米の半導体製造装置売り上げは拮抗している」などというのは過去の神話であることがわかる。

ちなみに2018年時点のシェアは、米国が44%、日本が29%であったので、この数年で日本はシェアを下げ、米国がシェアを増してきたことになる。業界関係者からは、この数年間、成長著しいボリュームゾーンで、日本勢はシェアを確保できていないことを指摘する声があがっている。ちなみに、日本勢のシェアが最高値を記録したのは1990年で48%であった。

半導体メーカーの市場シェア低下は取り沙汰されるが、半導体製造装置についても多少の波はあるものの長期でみるとシェアは低下傾向にあり、米国勢のシェアが1990年に43%で、そこから横ばいないし増加傾向となっているのと対照的である。

ただし、これはあくまで売上高合計のシェアであり、半導体製造装置市場の規模そのものは大きくなっていっており、シェアが低下したといっても、各社の売上高の絶対値そのものは落ちてはいないことに注意する必要がある。しかし、新たな成長が期待できるボリュームゾーンを見極めて新技術・新製品開発に取り込んでシェアを伸ばす取り組みを続けなければ、欧米勢の目ざとさを考えれば、今後、弱体化していく危険性がある。ある証券アナリストは、「日本の装置メーカーは、今や米国勢に大差をつけられ、欧州勢にも抜かれる寸前で、もっと緊張感をもって早く対策を考えないといけない」と警鐘を鳴らしている。