東京大学(東大)大学院工学系研究科、アドバンテスト、凸版印刷、日立製作所、ミライズテクノロジーズ、理化学研究所(理研)の6者は5月17日、参画する先端システム技術研究組合(略称:ラース、RaaS)にて、2023年4月1日より新たな先端システム技術の研究開発への取り組みを開始したことを発表した。

社会のデジタル化に伴うコンピューティング性能の向上要求に対応するためには、より高性能な半導体デバイスを設計する必要があるが、最先端プロセスでの設計・製造コストは高騰している。また、トランジスタ数の増加に伴い、搭載できる機能も増加するため、設計も複雑化し、完成までに長い時間を必要とするようになっている。

そうした将来の半導体設計の課題に対し、RaaSは専用チップの開発効率を10倍向上させつつ、エネルギー効率も10倍向上させることを目指しており、まず初手として開発効率向上に向けた専用チップ設計を素早くできるようにするためのアジャイル設計手法の研究開発を進めるとしており、そうした研究成果を参画する組合員が共同利用できる次世代先端半導体開発プラットフォームとしていくことで、半導体デバイスの設計と製造の民主化を目標に掲げている。

製造は世界規模の大手ファウンドリの7nmプロセス以降の微細プロセスを活用することを想定しており、組合員が実現したいシステムを搭載したエネルギー効率の高い半導体デバイスを製造することで、組合員各者が実現したいシステムを開発し、事業化を進めるともしている。

なお、RaaSでは、東大、アドバンテスト、凸版印刷、日立製作所、ミライズテクノロジーズ、理研の6組合員でシステム系研究部門の活動を進めていくとしており各法人の事業領域(ドメイン)で求められるシステムをテーマに、先端半導体開発プラットフォームを共同で研究開発していくことに加え、半導体産業界のエコシステムを支えるEDAベンダや半導体ファウンドリがこの活動を支援していくことで、半導体設計技術の民主化を進めていくとしている。