富士フイルムは5月16日、電子材料事業の拡大を目的に台湾に最先端半導体材料工場を新設することを決定したと発表した。
具体的には半導体材料の台湾現地法人FUJIFILM Electronic Materials Taiwan(FETW)が、台湾の新竹市に新たに土地を取得し、CMPスラリやフォトリソ周辺材料(現像液や洗浄液)を生産する新工場を建設し、2026年春に稼働させる予定だという。
また、台南市にある既存工場(台湾第3工場)でも建設中の新棟にCMPスラリの製造設備などを新たに導入し、2024年春に稼働させる計画も同時に進め、この新工場建設ならびに既存工場の能力増強に対する設備投資額は約150億円を見込むとしているほか、この動きに伴い約50名の新規雇用が創出される予定ともしている。
同社では、新工場が稼働すると台湾では4拠点の生産体制が構築されることとなり、高い品質基準を満たす製品のタイムリーかつ安定的な供給を図ることが可能となるほか、伸長が予想される半導体需要を先取りする投資で現地の生産・開発・品質保証体制をさらに強化していくとしている。
富士フイルムは、フォトレジストやフォトリソ周辺材料、CMPスラリー、ポストCMPクリーナー、薄膜形成材、ポリイミドなど半導体製造の前工程から後工程までのプロセス材料、イメージセンサー用カラーフィルター材料などのビジネスをグローバルに展開しているほか、グローバルな安定供給体制や高い研究開発力、顧客との強固な信頼関係を生かして、半導体材料関連事業の拡大を図っており、現在、日本でのCMPスラリの生産設備の導入、ベルギーでのポリイミド製造設備の増強なども進めている。また、先般、半導体製造用高純度薬液事業をEntegrisから買収するといった動きも見せており、将来的な半導体需要の増加への対応に向けた取り組みを強化しており、こうした積極的な投資によって事業成長の加速をはかり、2030年度に電子材料事業で5000億円の売り上げを目指すとしている。