Yole Intelligenceによると、2022年の半導体メモリ向けパッケージング市場は、最終テストを除いて151億ドル規模となったと推定されるという。

これは、スタンドアロンメモリ全体の売上高(1440億ドル)の約10%に相当する規模で、メモリパッケージング市場は2022年から2028年にかけて年平均成長率(CAGR)13%で成長し、2028年には318億ドルに達する見込みだとしている。内訳としては、DRAM向けがCAGR13%で成長し、2028年に207億ドルとなる一方、NAND向けは同17%で成長し、2028年には89億ドルに達する見込みだとしている。このほかのNOR、EEPROM、SRAM、次世代NVMなどのメモリ向けパッケージングのCAGRは3%ほどに留まるともYoleでは予想している。

  • 2022年および2028年の半導体メモリパッケージング市場の従来型パッケージングと先進パッケージングの全体に占める割合変化

    2022年および2028年の半導体メモリパッケージング市場の従来型パッケージングと先進パッケージングの全体に占める割合変化 (出所:Yole Intelligence)

この市場の伸びを支えるのがパッケージング技術の進化で、従来型パッケージングのワイヤボンディングの割合は2022年パッケージング売上高の53%、フリップチップに代表される先進パッケージングは同47%であったのが、2028年には先進パッケージングが77%まで拡大するとYoleでは予想している。

  • 2022年のDRAM、NAND、およびその他メモリそれぞれに使用されたパッケージング技術

    2022年のDRAM、NAND、およびその他メモリそれぞれに使用されたパッケージング技術(Yoleは詳細な割合を一般公開していない) (出所:Yole Intelligence)

ワイヤボンディングは、伝統的なメモリ向けパッケージング手法で、モバイルメモリおよびストレージアプリケーションに広く使用されてきた。一方のフリップチップはDRAMで採用が拡大している先進パッケージングで、ピンあたりの帯域幅を広くすることを目的に採用が進んでいる。アナリストの予想では、DDR5の性能要求はワイヤボンドパッケージでも満たせる可能性があるが、DDR6ではそれは無理で、フリップチップの採用が必須になると予想している。

また、もっとも出荷個数が多いのはNORをはじめとした低密度多くのメモリに採用されているリードフレーム。このほか、トゥルーワイヤレスステレオイヤフォンなどといった小型フォームファクタを必要とするコンシューマ/ウェアラブルアプリケーション向けにはWLCSP(Wafer Level Chip Size Package)が採用されているほか、NOR、EEPROM、SLC NANDなどの低密度メモリにも採用が進められているという。

このように先進パッケージングは、半導体メモリの技術進歩の重要な要素となっており、複数ある先進パッケージングの中でも、ハイブリッドボンディングは、より高いビット密度と性能を実現するための有望なソリューションと見られるとする。

なお、同社シニア テクノロジおよびメモリ市場アナリストであるSimone Bertolazzi氏は、「フリップチップパッケージがデータセンターやパーソナルコンピュータのDRAMモジュールの標準になりつつあるため、先進パッケージングはメモリビジネスでますます重要になっている。HBMの需要は、AIとHPCアプリケーションに後押しされて急速に拡大している。ハイブリッドボンディングは、3D NANDのスケーリングに伴い主流になろうとしている」と述べている。