Semiconductor Intelligence(SI)によると、車載半導体市場は2023年以降、自動車の半導体搭載量が増加するため、長期的にみても明るい見通しものとなるという。

例えば英S&P AutoTechInsightの2023年1月の調査レポ-トによると、自動車1台あたりの平均半導体搭載額は2022年には854ドルであったものが、2029年の1542ドルにまで成長すると予測している。また、米McKinsey & Companyの2022年4月のレポートによると、半導体市場は2030年に1兆650億ドルに達し、2021年からの年平均成長率(CAGR)は6.8%となり、このうち車載半導体市場だけを見ると2021年からのCAGRは13.0%で2030年には1500億ドルに達すると予想している。

車載半導体市場をけん引する電動化/高機能化

SIでは、今後10年にわたって車載半導体市場をけん引する分野として、電気自動車(EV)、運転支援・自動運転車、インフォテインメントシステムを挙げている。

  • 車載半導体全体およびカテゴリ別の2021~2030年におけるCAGR

    車載半導体全体およびカテゴリ(インフォテインメント、運転支援、EV)別の2021~2030年におけるCAGR (出所:Semiconductor Intelligence)

米Counterpoint ResearchによるとEVの販売台数は、2022年に約1000万台で世界で販売された車両全体の約12%であったが、2030年にはその割合が約40%まで拡大すると予測している。ホンダやVolks Wagenなど、複数の自動車メーカーが2030年までに年間生産台数の50%以上をEVとすることを目標としているが、EVの電費向上には高度なバッテリー管理システムが必要で、内燃エンジン車の2倍(X-FABによる予測)から3倍(Analog Devicesによる予測)の半導体(金額ベース)が搭載されることが期待されている。

また、運転支援や自動運転の実現に向け、さまざまな技術が搭載され、その多くがセンサやコントローラによって実現されている。米Statista Mobility Market Insightsによると、少なくともいくつかの運転支援機能を搭載した自動車は、2015年の全体の49%から2020年には86%まで拡大したほか、McKinsey & Companyでは、2022年から2030年のADASのCAGRを17%と予想している。

完全自動運転の実現には、多くの高性能半導体が搭載されるため、市場機会の拡大が期待されているが、現状、その開発はやや遅れがちとなっている。McKinseyによると、2030年に販売される自動運転車は全販売数の12%に留まると予測しているが、2035年には37%に増加するとしている。

このほか、インフォテインメントシステムは多くの自動車に搭載されるようになっているが、アナリストの予測としては、2022年から2030年までの車載インフォテインメント市場のCAGRは約9%~11%としている。

こうした背景から、車載半導体市場についてSIでは、2023年から少なくとも今後10年間にわたって堅調に推移するものと予想しており、半導体市場全体の中でも急速に成長するセグメントになることが期待されている。