Carl Zeissの子会社で半導体露光装置用光学部品を製造するCarl Zeiss Semiconductor Manufacturing Technology(ZEISS SMT)は、独ヘッセン州ヴェツラーに、DUV露光装置用光学部品の新工場建設を開始したことを発表した。2025年の完成を予定しているという。
ヴェツラーの製造拠点では、過去20年以上にわたってDUV露光装置用光学部品の製造が行われてきたが、インダストリー4.0、自動車の自動運転、5Gといったメガトレンドによって半導体製造装置に対する需要が高まっているうえ、既存工場の製造能力が限界に達しているため、新工場の建設で増産体制を構築すると同社では説明している。新工場は生産エリア面積が1万2000m2超で、これにより150人の新たな雇用が生まれる予定だという。
また、ヴェツラーの既存工場(従業員380人)も、自動化のためのさまざまな新たなコンセプトをテストしており、その成果も新工場に取り入れるとしているほか、DUV露光装置向け光学製品にはナノオーダーの精度が必要であるため、高感度測定のための振動のない建物設に特に注意を払っているという。
ZEISS SMTの最大顧客であるASMLでは、同社が多数の受注残を抱えている一因は、露光装置用光学レンズの供給が間に合わないことにあるとしており、そうした点でも、ZEISS SMTの新工場の稼働に期待がかかっているといえる。
ドイツの研究開発拠点も拡張
またCarl Zeissは、2000万ユーロ以上を投資し、独ヘッセン州ロスドルフにあるフォトマスクの研究開発拠点を2026年末までに拡張することも発表した。同拠点では、300m2のクリーンルームを増設し、フォトマスクの欠陥をナノメートルの精度で修復するシステムを開発するという。
Carl Zeissの電子ビーム技術に基づくMeRiTシステムは、フォトマスクの微小な欠陥をナノメートルの精度で修復することが可能で、多くの半導体メーカーが同システムをフォトマスクの修理に活用しているという。半導体の小型化、高性能化、省エネルギー化は継続して行われているため、マスク修復システムの継続的な開発も不可欠だという。