OKIは3月27日、AIを活用した物流分野における配送計画最適化サービス「LocoMoses(ロコモーゼ)」の販売を開始したことを発表した。

新サービスは、同社のイノベーションマネジメントシステム(IMS)「Yume Pro」からの初めての商用化事例となる。同日には記者会見が開催され、5月1日よりサービスが開始されるLocoMosesの概要説明に加えて、OKIのイノベーション創出への取り組みについて語られた。

  • 配送計画最適化サービス「LocoMoses」発表記者会見の様子

    配送計画最適化サービス「LocoMoses」発表記者会見の様子

2017年に始動したYume Proから初めての商用化へ

OKIは2017年の中ごろから、事業拡大による持続的な成長への取り組みを開始。その後、社内イノベーションを事業化につなげる取り組みとして、2018年4月に同社のIMSとなるYume Proを始動させ、2020年4月には新規事業開発と研究開発の融合を目的としたイノベーション推進センターを発足させた。

  • OKIのイノベーション活動の軌跡

    OKIのイノベーション活動の軌跡(提供:OKI)

OKIの執行役員でイノベーション責任者を務める藤原雄彦氏は、複数年を賭けてYume Proの範囲をグループ全体へと広げてきたとしたうえで、「この2022年度末で、我々のIMSの第1版が完成する」と語る。

  • OKIのイノベーション創出について話す藤原雄彦氏

    OKIのイノベーション創出について話す藤原雄彦氏

そして今般、IMSにおける注力領域の1つとして掲げる物流現場への価値提供として、新サービスのLocoMosesを開発し、商用化するに至ったとのことだ。

分割配送に対応した配送方法最適化サービス「LocoMoses」

物流業界では、働き方改革に伴う"2024年問題"や担い手の不足などの課題が山積しており、業務効率化へのニーズが急増している。その業界に対し、OKIは、物流拠点から店舗への配送計画の立案業務に着目した。

配送計画の立案は、業務経験を有する熟練者への属人化が課題となっている。またそれに加えて、近年の燃料費の高騰や運転手不足、CO2排出量削減への要求といった観点から、より高効率での配送作業が求められているという。

そこでOKIは、物流・配送事業を持つロンコ・ジャパンと2020年から共創を開始。同社が抱える困りごとをヒアリングしながら、OKIの技術を活かしたソリューションを模索したという。そして、熟練者の知見を取り入れながら、コストを最適化した配送計画を算出する「コスト最小型ルート配送最適化AI」を開発し、実際の配送現場での運用を行いながらブラッシュアップを続けてきたといい、2022年10月にはその完成を発表している。

そして5月からのサービス化にあたっては、ロンコ・ジャパンの配車システム「ラーク」を通じた形で提供を行う。ラークは、配送開始時刻や燃料価格、高速利用距離といった条件を入力することで、最適化された配車計画が算出されるというもの。LocoMosesはこのシステムに組み込まれ、裏側での最適な配車計画の算出を行うとする。