IntelのPat Gelsinger CEOが、自身のTwitter上でGPU開発を主に率いてきたIntelチーフアーキテクトのRaja Koduri氏が退社したことを明らかにした。

Intelは2017年秋、競合であるAMDのグラフィック部門であるRadeonテクノロジーズ・グループのシニアプレジデントおよびチーフアーキテクトを務めていたKoduri氏を引き抜き、GPUの開発責任者、のちに事業責任者に据え、NVIDIAやAMDに対抗するためのGPUの製品化を進めてきた。

  • Raja M. Koduri氏

    Raja M. Koduri氏 (出所:Intel)

しかし、期待したほど事業が成長しないこともあり、2022年末に当該事業部門「Accelerated Computing Systems and Graphics Group(AXG)」を解体し、組織再編を行っていた。これに伴い、Consumer GraphicsチームはClient Computingグループに、Accelerated Computingチームはデータセンター・AIグループへと統合され、Koduri氏はAXG事業のゼネラルマネージャーから、チーフアーキテクトへと異動となっていた。この際、Intelは当該人事について、「Raja Koduri氏はチーフアーキテクトへと戻り、CPU、GPU、AIなど、当社の成長のための取り組みと、優先度の高い技術プログラムに注力することになった」と説明していたが、米国の半導体関係者からは、この事実上の降格人事が同氏の退職につながった1つの要因となったと見る向きもある。

また、同氏の退職前の3月3日付でIntelはデータセンター向けGPUの開発ロードマップを変更したことを明らかにし、HPC/AI処理向けハイエンドGPU「Intel Data Center GPU Maxシリーズ」の改良版(開発コード名:Rialto Bridge)と、データセンター向けGPUカード「Flexシリーズ」の改良版(開発コード名:Lancaster Sound)の開発が中止されたことを明らかにしている。

すでに同社のSVP兼ファウンドリ事業IFSのプレジデントだったRandhir Thakur氏も2023年3月末で退職することがアナウンス済みで、今回のKoduri氏の退職でIntelはファウンドリとGPU、それぞれの最高責任者だった人物を手放すことになる。Intelとしては、こうした新規事業を業績回復の起爆剤として注力する姿勢を見せてきただけに、同社の今後の動向が注目される。

なおKoduri氏は、退社後数週間以内にゲームやメディアなどに向けた生成AIのソフトウェア会社を設立するとGelsinger氏あてのTwitterにて明らかにしている。