Intelは3月21日(米国時間)、同社経営計画グループのSVPだったStuart Pann氏をファウンドリ事業部門であるIntel Foundry Services(IFS)のシニアプレジデント兼ゼネラルマネージャーに任命したと発表した。Pann氏はIntelのPat Gelsinger CEO直属となり、IFS事業の全責任を負うこととなる。具体的には、生産受託の半導体ウェハ製造、パッケージング、チップレット標準化、ソフトウェア、および米国と欧州を拠点とする生産・営業活動などが責任範囲に含まれている模様である。

Pann氏はIntelでキャリアをスタートさせ、ビジネス管理グループのVP兼ゼネラルマネージャーを務め、同社のマイクロプロセッサおよびチップセット事業の価格設定、収益、および将来予測を担当していた。その後、HPで最高サプライチェーン責任者および最高情報責任者を6年間ほど務めるなど、複数社を経た後、Gelsinger CEOの求めに応じて2021年に再び古巣のIntelに戻った。Intelによると、同氏はSVP、最高ビジネス変革責任者、コーポレートプランニンググループのゼネラルマネージャーとしてIDM 2.0推進オフィスを設立し、会社の運営方法をかえて他のトップファウンドリとの一貫性を高めることに貢献したとされる。

ちなみに、Pann氏の前任のIFSゼネラルマネージャーを務めていたRandhir Thakur氏は、IFSを軌道に乗せつつあった2022年11月に、その役割を自ら辞し、2023年3月末にIntelを離れている。 Intel再建に邁進し、さまざまな改革を進めているが業績が悪化の一途をたどるPat Gelsinger CEOとThakur氏の間で何らかの意見の相違があったといわれているが、両者とも退任理由について明らかにしておらず、Thakur氏は、「ほかにやりたいことがあるため退職する」という言葉を残してIntelを去ったという。

Thakur氏の辞任が突然だったこともありなかなか後任者が決まらず、IFSのトップが空席のままであったことから、ファウンドリ事業に支障が生ずるのではないかと心配する向きがあった。

Intelは、ドイツに主に車載半導体の受託生産を見越したファウンドリファブの建設を発表したものの、補助金の額について独政府との交渉が難航しているほか、イスラエルのファウンドリTower Semiconductorの買収を発表後、実現に向けた動きが進展していない。こうした取り組みも含め、IFSの経営を軌道に乗せ、競合の先進ファウンドリと伍して戦うことができるのか、新たな責任者の手腕に注目である。