韓国産業通商資源部と国土交通部(日本の経済産業省と国土交通省に相当)は3月15日、「第14次緊急経済民生会議」を開催し、複数の政府案件が議論され、それらを実施することが決まった模様である。

今回、提案された案件は以下の通り。

  • 「国家先端産業ベルト」構築のために半導体はじめ15の「国家産業団地(国立の工業団地)」候補地を選定し、全国土をバランスの良い先端産業基地に造成する
  • 民間企業は6大先端産業(半導体・ディスプレイ・2次電池・バイオ・未来車・ロボット)に総額550兆ウォン(55兆円超)投資する。政府はこれを総力支援する。
  • 半導体産業に関しては、韓国ソウル近郊の首都圏内に300兆ウォン(30兆円超)規模の世界最大の「先端システム半導体クラスタ」を構築し、ファブ5棟建設のほか、世界中から関連企業150社を呼び込む

韓国が2022年に施行した「国家先端産業育成戦略」に基づき、システム半導体分野に関しては、大規模な民間新規投資のもと、世界最大のメガクラスタを構築する。この投資は20年後の2042年までに300兆ウォン(約30兆円超)規模で、単一の工業団地としては世界最大規模の新しい「先端システム半導体クラスタ」を京畿道龍仁市に造成するというもので、工業団地に先端半導体ファブを5棟建設し、国内外の装置・部品・材料メーカー、ファブレスなどを最大150社誘致する計画だという。

この新規クラスタが造成されれば、既存の半導体生産団地(器興、華城、平澤、利川など)および近隣の装置材料メーカー、IC設計会社が集まっている韓国ファブレスバレー(板橋)とも連携した世界最大級の「半導体メガクラスタ」が完成するという。

メガクラスタについて、メモリ・ファウンドリ・デザインハウス・ファブレス・装置/材料など半導体全分野のバリューチェーンと国内外優秀人材を集積した「グローバル半導体クラスタの先導モデル」となることを関係者は期待している。

メガクラスタが構築されれば、AI半導体などに向けた先端4nmプロセス、車載/家電といったレガシープロセスの生産能力が拡充されることとなるため、優れたファブレスの試製品製作と量産を集中支援し、売上高1兆ウォン(約1000億円)のファブレスを10社育成するという目標を韓国政府は提示している。

また、電力、車載、AIなど有望視される半導体技術開発に2030年までに3.2兆ウォンの技術開発事業を推進するほか、重要性が高まっている先端パッケージング分野に対する生産・研究拠点への24兆ウォン規模の民間投資と3600億ウォン規模の政府による支援を通じて競争力を高めていく計画だともしている。

Samsungがファブ5棟の新設に向け300兆ウォンの投資を計画

「第14次緊急経済民生会議」に出席したSamsung Electronics半導体部門トップの慶桂顕 社長は、政府の政策に歩調を合わせ、2042年までに約300兆ウォンを投じて新たな半導体製造拠点を設けることを発表した。

民間企業が6大先端産業に総額550兆ウォンを投じるうち、Samsungが300兆ウォンと、その過半を担うことになる。

Samsungはすでに韓国の器興、華城、平澤に巨大な半導体工場を有しており、龍仁は、韓国内の4つ目の半導体拠点となる予定だが、完成は2042年と先の話である。同社は、韓国のほか中国西安(NAND)や米テキサス州オースティン(ファウンドリ)にも拠点があるほか、テキサス州テイラーに最先端プロセス工場の建設を進めている途中である。