宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月3日、2月17日にカウントダウン中に異常を検知し、打ち上げを中止していた日本の次世代基幹ロケット「H3ロケット試験機1号機」の不具合を特定、必要な対策を行うめどが得られたことを受け、新たな打ち上げ日を3月6日と設定しなおしたことを発表した。
2月17日の打ち上げでは、カウントダウンが進行し、打ち上げ条件成立後、固体ロケットブースタ「SRB-3」の点火信号送信前に、1段機体制御コントローラが異常信号を検知し、飛行制御ソフトウェアが以降のシーケンスを停止するという事態が生じていた。これを受けて、JAXAでは異常の発生原因などの調査を実施。その結果、機体や地上設備の電気的な挙動が影響を与えた可能性があるとして、詳細な検証を行ったところ、機体と地上設備との電気的離脱を行う際に、地上との通信・電源ライン遮断時の過渡的な電位変動が影響し、機体制御コントローラ(V-CON1)の誤作動を引き起こしたことを突き止めたという。
これを受けてJAXAでは、対応策を考案。その有効性を確認したことから、3月6日の打ち上げに挑むことを決定したという。
同日の打ち上げ予定時刻は10時37分55秒~10時44分15秒とし、3月3日にシステム点検や電池最終充電などのL-3作業を、3月4日に火工品の結線やクローズアウトなどに加え、カウントダウン移行前確認会の開催などを行うL-2作業を、3月5-6日にかけて機体移動ならびに実際の打ち上げとなるL-1/L-0作業を行う予定としている。
また、対応策の最終的な検証を、L-1の機体移動後にデータ取得を行う予定だとしている。
なお、JAXAでは打ち上げ予備期間を3月10日まで設けており、3月6日の打ち上げ可否については、打ち上げ予定時刻の予報が曇りとなっていることから、今後の天候状況を踏まえ、再度判断するとしている。