Vicorは、自動運転技術を開発する米コディアック・ロボティクスが、Vicorの電源モジュールを採用したと発表した。
米国経済を支える商用トラック輸送だが、近年、米国のトラックドライバーの平均年齢が48歳、長距離に限るとさらに高くなると言われており、アメリカトラック協会によれば、2022年は8万人のドライバーが不足したという。
そうした点からも、長距離輸送トラックに対する自動運転技術の適用が期待されているほか、経済的な観点からも、100~200万マイル走行するトラックであれば、人が休憩を入れながら走る必要もなくなるため、自動運転システムのコストを回収することも容易だと考えられているという。
コディアックの長距離運転車両向け自動運転ソリューション「Kodiak Driver」は、後付け可能なシステムで、周辺状況を把握するためのセンサのほとんどを、ミラーの位置に数分で取り付けることが可能な「SensorPods」と呼ぶモジュールに搭載することで、自動走行を実現するという。センサとしては、HDマップは用いず、レーザー、光学カメラ、LiDARを統合した「Kodiak Vision」がマップを補完することで自動運転を実現する「Sparse Mapping」という手法が採用されているとのことで、この機器を取り付けた後のセンサネットワークの再調整に特別な訓練を必要としないことも特徴だとしている。
すでにコディアックでは、2023年に入ってからKodiak Driverを連続稼働させてダラスからアトランタまで4往復させたとするほか、輸送業界の大手企業と協力して試運転を複数回成功させているとする。また、2022年8月からは、テキサス州にてIKEAから自動運転による貨物配送を請負い、ベイタウンの配送センターとフリスコのIKEAストアの間で週7日の運転を行っているという。
Vicorならびにカスタム設計子会社であるVicor Power Systemsとの提携は、自動運転トラックの電源システム設計に求められる信頼性、効率、健全性のモニター機能という3つの課題を解決する高電力密度・高性能の電源システムを設計することを目的に行われたもので、Vicorの電源モジュール「BCM6123」、「PRM」、「VTM」を用いて、12V、24V、48Vの電源バスを作り、センサに給電することで、システム内のすべてのコンポーネントの電源を制御できるようになり、独自のCANバスを介してすべてのセンサの電圧と電流のモニターすることで、各コンポーネントの健全度を最適な状態にできるようになったとしている。
さらに、48Vシステムのバッテリー充電器により、駐車中のトラックにAC電源から給電が可能となったほか、電源ケーブルを細くすることができ、軽量化や省スペース化を果たしつつ、大電力の取り扱いが可能になったとしている。