島津製作所は1月25日、音声操作装置を搭載した精密万能試験機「オートグラフAGX-V2シリーズ」5モデルを発表した。
精密万能試験機は、材料の強度や力を加えた際の変化を測定する強度試験に使用されるもので、近年の電気自動車(EV)やカーボンニュートラル関連の開発要望が強まったことを背景に、新素材や新構造の部品・製品の増加に併せて強度試験のニーズも増加しつつあるが、頻度を増やすために試験機操作の熟練度が低いオペレータも増えてしまい、操作性や安全性に優れつつ、高い試験効率を提供する装置の必要性が増してきているという。
同シリーズは、そうしたニーズに対応するべく、従来機「オートグラフAGX-Vシリーズ」の指示値のプラスマイナス0.3%以下の高い試験力測定精度や、ロードセル容量1/1~1/2000の広い測定精度保証範囲、競合比2倍のデータ取得が可能なサンプリング速度10kHz、ひずみ測定などに対応する外部入力ポートを最大20chまで増設できる拡張性などを受け継ぎつつ、さらなる使い勝手向上などを目的に開発された試験機で、日本語・英語・中国語で、特定のキーフレーズを使って25種類の指示が可能な音声操作装置「XV-Talk」を標準搭載。キーフレーズをオペレータが発した声を受けて、試験機側も音声で返答するなど、注意喚起による試験の安全性向上なども考慮されている。
標準モデルに加えて、試験効率を高める「大型カラー液晶タッチパネル搭載モデル」、大型部品の試験が可能な「試験空間幅広モデル」、新素材開発に役立つ「制御装置別置きモデル」など5モデルをラインナップ。大型カラー液晶タッチパネル搭載モデルは、多くのサンプルを短時間で効率よく試験したいという品質管理部門の要求に応えることを目的に開発されたモデルで、試験データやグラフをコントローラ上のタッチパネルにリアルタイムで表示できるため、PCレスでの運用が可能だという。また、試験空間幅広モデルは、試験空間幅を標準モデルの600mmから1000mmに拡大。これにより従来、車のシートなどといった切断して試験が必要だった大型部品であっても、実サイズのまま試験を行うことができるようになるという。さらに、制御装置別置きモデルは、輸送機器の強靭化・軽量化のための新素材開発に役立つモデルで、複合材が破断した際の粉塵の浮遊や高強度鉄鋼材(超ハイテン材)の破断時の衝撃による電子部品の故障を防ぐことができるという。
なお、価格は600万円から(ソフトウェア込み、税別)となっており、同社では発売後1年間で国内外合わせてシリーズ合計で500台の販売を目指すとしている。