企業が消費者とのコミュニケーションにスマートフォンを活用すると聞くと、アプリやソーシャルサービスの利用が想起される。だが、NTTタウンページとリンクスが提供する「SMAPS」は、機種やキャリアを問わずに個人とやり取りできるSMSを使って書類送付をデジタル化するサービスだ。

ベーシックに見えるSMSだが、ドキュメントの送付などリッチな機能を備える。はたして、SMAPSではどのようなことができるのか――SMSのビジネス利用の可能性や今後の展望を含め、NTTタウンページ 取締役 ソリューション営業部長 井上登晃氏、リンクス 取締役 夏山昌和氏に話を聞いた。

  • 左から、NTTタウンページ 取締役 ソリューション営業部長 井上登晃氏、リンクス 取締役 夏山昌和氏

協定締結で企業・自治体のペーパーレスを推進

SMAPSはリンクスが開発するサービスで、携帯電話番号を活用したコミュニケーションであるSMSを使って情報を送付できるほか、本人認証、決済などが行える。SMSで送信したリンク先のページでは、A4数十枚に相当する最大10830文字を記載できる。さらには、期限付きURLを発行する機能、意思確認にも使えるアンケート機能なども備える。

今回NTTタウンページとリンクスはパートナーシップ協定を締結し、SMAPSを企業や自治体のペーパーレスに役立てるための取り組みを進めていく。

両者の関係は2021年からスタートしている。今回の協定締結の狙いについて、NTTタウンページの井上氏は「NTTのグループ会社は数多く、それぞれ提携している会社もあります。タウンページ社が自社製品として取り扱い、それらの会社と連携し販売することで、早期に事業を拡大することができると考えました」と話す。

そして、パートナーシップ締結の第1弾として、SMAPSの新機能となる「債権譲渡通知等送信サービス」を提供することが発表された。

郵送を上回るSMSのメリット

国内における書類発送数は年間149億通、その多くが企業・自治体から消費者への送付と言われている。ペーパーレスが叫ばれる時代、 SMAPSをうまく活用できないものか――そこで、行き着いたのがこの「債権譲渡通知等送信サービス」だ。

「企業の書類発送業務の多くは郵送で行われています。それをSMSに変えていきたいと思った時に、最もハードルが高かったのが債権譲渡通知でした」と、夏山氏は説明する。

民法で債権譲渡通知は、“確定日付のある証書により、第三者対抗要件を具備することができる”と規定されており、電子的な手段でも良いという特例があれば、SMAPSはこれを満たすことができるからだ。

「債権譲渡通知は内容証明および配達証明が必要で、かつ、扱った文書を5年間保管するという義務もあります。SMAPSで送信した債権譲渡通知のPDFファイルを5年間預かり、真正性のある文書であるという証明書を出すことができれば、デジタル化できると考えました」と夏山氏。

そこで、リンクスは経済産業省の「新技術等実証制度」(規制のサンドボックス制度)を活用し実証実験を行い、その結果、現在の手段である郵便と同等、それ以上のものが実現できることが実証された。そして、リンクスの「SMSを利用した債権譲渡通知に関する実証」に関する新技術等実証計画は「規制のサンドボックス制度」の経済産業省第8号として認定される。

SMAPSは、経済産業省と法務省より、その特例の認定を国内で初めて受けたSMSサービスとなる。

夏山氏のいう「それ以上のもの」とはスピード、受け取り日時の精度、本人確認の精度などを指す。「内容証明郵便は受け取った日付を確定させるものですが、SMAPSでは受け取った時間、メッセージを開いた時間まで確定できます。また、自宅に送ると家族が受け取ることも考えられますが、本人のスマートフォンに届くSMAPSなら、きちんと本人に通知できます」と井上氏はいう。また、夏山氏も、「デジタルだからこそのメリットです。人手を介してはなかなかできないことです」と同意する。

気になるセキュリティも万全の準備をしている。夏山氏によると、個人情報をはじめ、請求に関する情報などはすべて暗号化されており、外部からの侵入を防ぐような対策も講じているという。