Eco-Porkはこのほど、繁殖するための母豚が自由に動ける「フリーストール」飼いの環境下でも「発情検知」「個体識別」を可能とするAI技術を開発し、実証を完了したと明らかにした。

同技術は、生物系特定産業技術研究支援センター(生研支援センター)の「令和3年度スタートアップ総合支援プログラム(SBIR支援)」の支援を受けて開発し、特許出願中の技術。

従来のAI技術では、ストールと呼ばれる柵で1頭ずつ区切って飼養する方法でのみ、繁殖豚の発情管理を可能としていた。同技術では、豚が自由に動けることから欧米を中心にアニマルウェルフェアの観点で望ましいとされている、フリーストールで飼養される繁殖豚を管理することが可能になるという。

具体的には、AIカメラが区画内にいる繁殖豚を自動で見つけ、それぞれの繁殖豚の耳に取り付けた識別子(耳標の色組みあわせ)を検出し、その色味の組みあわせパターンを用いて個体を特定する。移動する繁殖豚をAI技術で自動追跡し、複数の画像を用いて判断することで、99.7%の精度で個体の特定が可能。これにより、フリーストール内に豚が複数飼われている状態でも、特定の豚を識別することを可能としている。

  • 耳標組み合わせのイメージ

    耳標組み合わせのイメージ

また、AIカメラが繁殖豚の生殖器の状態をAI技術により分析し、発情/非発情のいずれであるかを判別し、生殖器の状態を適切に捉えるための最適な静止画を、AIが動画から自動取得し発情判定を行うことで、判定精度98.3%を実現しているという。豚舎の明るさや環境が異なる場合でも、判別精度を保つことができる。

  • 発情判定と個体識別を同時に行うイメージ

    発情判定と個体識別を同時に行うイメージ

  • 明暗の異なる複数写真から最適な画像を選択し判定するイメージ

    明暗の異なる複数写真から最適な画像を選択し判定するイメージ

国内で飼養される繁殖豚(=母豚)の大半は、飼養管理の効率性・困難性の面から1頭のみを収容するストールと呼ばれる柵で飼われ、ストールの中で受胎から出産までの繁殖サイクルを6回~7回程度繰り返して飼養されることが一般的。

近年、EU加盟国を中心に動物福祉であるアニマルウェルフェアの観点から、繁殖豚の飼養方法として、動物が動物らしく自由に活動可能な大きさの区画内で多頭飼養されるフリーストールへの転換が図られている。

現在、国内養豚農家は配合飼料価格・生産資材をはじめとした価格上昇や労働力の不足などにより、効率化が求められており、同技術は養豚農家の効率化を支援し、アニマルウェルフェアに養豚農家が対応する際のソリューションとして、2023年度内の製品化を目標に開発を継続していく方針だ。