The Linux Foundationは12月15日(米国時間)、相互運用性のあるオープンマップデータを開発する新イニシアチブ「Overture Maps Foundation」の設立を発表した。Amazon Web Services (AWS)、Meta、Microsoft、TomTomが設立に参画、2023年前半に最初のデータセットをリリースする予定。

The Linux Foundationは「今日、地図サービスを提供する開発者は多くの課題に直面しています」と指摘している。高品質で最新かつ包括的なデータを異なるソースから調達して管理するのは困難でコストもかかる。同じ現実環境に対してソースごとに参照の規則が異なり、それらのデータを組み合わせるのは難しい。またマップデータの誤りや不一致が起こりやすく、オープンマップデータは商業的な地図製品やサービスを効率的に構築するのに必要な構造を欠いていることが多い。

Overture Maps Foundationは、マップを用いた様々なアプリやサービスを提供するための基盤となる高品質で信頼性の高いオープンなベースマップデータを構築し、オープンデータライセンスで提供する。具体的には以下の実現を目指す。

  • コラボレーション可能なマップ作成:Overtureメンバー、市民団体、オープンデータソースを含む複数のソースからデータを取り込むことを目指す。
  • グローバルエントリー参照システム:異なるデータセットのエンティティを同じ現実環境のエンティティにリンクさせるシステムにより、相互運用性を簡素化する。
  • 品質保証プロセス:地図のエラー、破損、破壊行為を検出するためのバリデーションを通じて、地図データが本番システムで使用できる品質を保証。
  • 構造化されたデータスキーマ:使いやすい地図データのエコシステムを構築するために、共通化、構造化、文書化されたデータスキーマを定義。

Overtureのオープンマップデータは、既存のオープンな地理空間データを補完するものになる。プロジェクトでは、都市計画図やOpenStreetMapといった既存のオープンマップデータと、メンバーから提供された新しい地図データを統合し、コンピュータビジョンや機械学習技術を使用して現実環境を映したデジタル記録の作成を目指す。

来年前半にリリースする予定の最初のデータセットは、道路、建物、行政情報などの基本レイヤーを含む予定。そしてカバレッジを広げ、解像度や精度を高めながら、場所、ルート、3D建物データといった新しいレイヤーを追加していく計画だ。

AWS、Meta、Microsoft、TomTomによって設立されたが、オープンなコラボレーションを促進する取り組みであり、メンバーシップとコントリビューターを拡大し、マップデータを改善するための幅広いシグナルやデータ入力を含めることを目標としている。