ispaceは12月15日、12月11日に打ち上げた月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1のランダー(月着陸船)の初回起動制御マヌーバとして、予定軌道に投入したこと、ならびに主推進系、誘導制御系の動作の確認を完了したことを発表した。これにより、ミッション1で設定された10段階のサクセスのうち4つまで完了したこととなる。

同社によると、ランダーは引き続き安定した姿勢で、安定した電源供給を確立しながら航行を進めており、2022年12月15日12時00分時点(日本時間)に初回の軌道制御マヌーバを完了したという。

ランダーは地球から約55万kmの地点を航行しており、2023年1月20日ごろに地球から約140万km地点まで航行する予定で、その後、軌道制御マヌーバを実施し、月周回を目指すとしている。

  • HAKUTO-Rミッション1の航行軌道イメージ

    HAKUTO-Rミッション1の航行軌道イメージ (C)ispace

ispaceでは、今回の初回軌道制御マヌーバの成功は、大きな推力を持つ主推進系の軌道上運用、軌道制御アルゴリズム、予定通りの軌道にランダーを投入するための航行計画技術、軌道制御マヌーバ実行後の軌道評価技術など、ispaceが月周回や月面で事業を展開するために必須の能力を獲得するという技術的に大きな意味を持つマイルストーンであるとしているほか、今後のマイルストーンの完了に向けても多くの経験と知見を蓄積することができたと捉えていると説明している。

なお、現在サクセス3については、ペイロードすべての健全性の確認に時間がかかっていることからまだ終えておらず、先行してサクセス4が完了することとなった。この件について同社では、ミッションの実際の運用状況に沿って計画を適宜調整した結果であり、今後の運用上に問題ないと説明している。

  • HAKUTO-Rミッション1の10個のマイルストーン

    HAKUTO-Rミッション1の10個のマイルストーン (C)ispace