JAXAは今回のPale Blueとの対話を通じて、JAXAが低圧タンクを開発し、その成果をPale Blueが事業展開中の30W級電気推進機に活用するという。それにより、JAXAは低圧タンクの開発成果の早期社会実装を、Pale Blueは30W級電気推進機の能力の効率的な改善を目指す、という共創活動のアイデアが生み出された形だ。

今回の事業コンセプト共創活動始動に対し、Pale Blueの浅川純共同創業者兼代表取締役は、「当社では創業当初から水を推進剤とした30W級電気推進機の実用化に取り組んでおり、開発および商用化に成功しています。今後のさらなる事業拡大のための300W級電気推進機の実現、およびJAXAが目指す超小型衛星による深宇宙探査ミッションに資する超小型電気推進機の実現に向けて、世界をリードする、月崎先生をはじめとしたJAXAの電気推進機研究チームと共創活動を行えることを非常に嬉しく思います。電気推進機の技術を発展させ、人類の可能性を拡げ続けます」とコメントしている。

一方のJAXA 宇宙科学研究所宇宙飛翔工学研究系の月崎竜童准教授は、「金属有機構造体のMOFを使ったガス貯蔵方法は、真空から大気圧にかけて多くのガスを吸着・放出できるため、電気推進機をはじめとする真空分野とは非常に相性の良い技術です。高圧ガス保安法の規制を受けず、安全かつ容易に推進剤を充填することで、超小型衛星の推進系に貢献できることを嬉しく思います。また『はやぶさ2』は拡張ミッションに入り、エンジン性能の限界に挑戦しています。ここで得られた知見を、超小型衛星のエンジンの寿命改善に役立てていきたいと思います」と述べている。

今回の事業コンセプト共創活動を通して、JAXAは新たな研究開発に挑戦し、その成果活用の最大化を推進するといい、Pale Blueは超小型電気推進機の改善や、新たな事業創出を目指すとする。またJAXAは、改善された電気推進機を活用した、将来の超小型衛星ミッションの検討を進めていくとしている。