アリババクラウドは11月14日(中国 浙江省 現地時間)、EC(Electronic Commerce:電子商取引)事業「天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル」(以下、天猫ダブルイレブン)で発揮した同社の技術について明らかにした。

今年の天猫ダブルイレブンは、アリババクラウドの専用OS(Operating System)である「Apsara Cloud OS」で運用されたという。同システムによりデータセンターのコンピューティング、ストレージ、ネットワークの効率が向上しており、ネットワークの遅延も低減できたとのこと。

また、アリババのECプラットフォーム「タオバオ」のトップページをサーバレス技術によってアップグレードしたことにより、実際のワークロードに基づいて弾力的に自動スケーリングできるようになっている。

消費者の購買体験については、クラウドネイティブのデータベース製品によって、消費者のショッピングカートの容量を120点から300点へと2倍以上に拡大している。企業向けクラウド型インメモリ・データベース・サービス「ApsaraDB for Redis Enhanced Edition(Tair)」では、商品のグループ分けやソートなどの新機能をサポートし、消費者が自分の好みに応じてショッピングカートを整理できるようになっている。

さらに、XR(ARやVRなどの技術の総称)をサポートする独自技術により、より没入感のあるショッピング体験を実現提供したという。バーバリー、エスティローダー、SK-IIといった高級ブランドや家具ブランドが、天猫上にバーチャルストアを構築した。同社の3Dモデリング技術は、複雑な3Dシーンなどを生成可能なニューラルネットワーク技術である神経放射輝度場(Neural Radiance Field)を活用したとのことだ。

デサントなどのスポーツブランドは自然光や炎、水流などをリアルに表現する3Dレンダリング技術によって屋外の自然を再現し、美しい自然環境の中で最新の製品を紹介した。その他、AR技術によって消費者は商品を立体的に見られるようになり、詳細を間近で確認したり、時計やアクセサリーを仮想空間内で試着したりできるようになった。室内での家具の配置や、アウトドアでキャンプをするためのテントの設置なども可能だ。

加えて、天猫とタオバオのマーケットプレイスではXRを活用した新しい体験も可能となった。ハローキティやミニオンなど、知名度が高い30の国際ブランドを含む70のブランドが、アリババの研究機関である達摩院(DAMOアカデミー)の3D空間自動生成技術を使って仮想ショッピングストリートを構築し、多くの商品を紹介したようだ。

今回の天猫ダブルイレブンにおいて、ラストワンマイル配送用の自律型配送ロボット「小蛮驢(シャオマンリュ)」が約200万個の荷物を配送した。これは昨年同時期の配送量の約2倍に相当するとのことだ。

なお、今回の天猫ダブルイレブンにおいて、中国全土にあるアリババクラウドの5つのハイパースケールデータセンターで使用したクリーンエネルギーの量は昨年比で倍増している。アリババクラウドが今年の天猫ダブルイレブンのために使用した電力のうち、3200万キロワット時以上は再生可能エネルギーによるもので、昨年と比較して1日平均で約30%増加した。

なお、中国南部にある広東省河源市のデータセンターは、現在100%クリーンエネルギーで稼動しているという。同社のデータセンターでは、独自に開発した液浸冷却技術によりエネルギー消費量を削減し、電力使用効率(PUE)1.09を達成している。