ノートパソコン用タッチパッドモジュールならびにタッチスクリーン向けICを手掛ける台ELAN Microelectronicsが11月3日に開催した業績説明会にて、I-Hau Yeh Chairman兼Presidentが、「ファウンドリとの3年の長期契約(LTA)を解除せざるを得なくなった」と述べたと台湾の複数メディアが報じている。
同社の2022年第3四半期決算業績は、売上高が前年同四半期比43.3%減、前四半期比32.7%減の28.19億NTドルだが、第4四半期の売り上げは、第2四半期以前の半分以下の18~20億NTドルに留まる見込みだとのことで、ファウンドリとの長期契約解除に伴う違約金を第4四半期に営業外損失として計上するとしている。ただし、長期契約を解除するファウンドリの社名や違約金額は明らかにしなかったという。業界関係者の中からは、同社の第四半期業績が赤字に転落の可能性もあるとの見方も出ているという。
同社は、長期契約を解除する理由として、消費者の購買意欲が弱く、Chromebook向けの受注が前年比で半減しており、在庫の消化ペースが予想以上に遅いためと説明している。
2020年ならびに2021年は、新型コロナの感染拡大に伴う予想外の半導体特需が発生。それによりPC市場は活況を呈し、200mmファブの生産能力も深刻に不足に陥った。そのため200mmファブで主に生産されてきたパネルドライバICやタッチICなどを手掛けるメーカーは、急増する注文に対応して55nm以上のレガシープロセスでの生産能力を維持するためにファウンドリと長期契約を結んだが、2022年後半における消費者市場の減速を受け、急速に半導体の供給過剰が進行。これまでに締結したウェハの長期供給契約の履行が困難になった結果、ファウンドリに違約金を支払う必要が生じたという。
台湾の半導体業界関係者によると、違約金は数億NTドル模様にのぼると見られるという。同社の生産委託先としては、UMCが最大で、2022年第1四半期では7億900万NTドルと全体の3割を占めていたが、ほかにTSMC、Vanguard International Semiconductor(VIS)、韓Key Foundryなどにも生産を委託している模様である。
なお、I-Hau Yeh氏は、Chromebookの在庫調整は2023年第1四半期、長ければ第2四半期までかかる可能性があるとの見方を示す一方、MicrosoftのWindows OS搭載製品の在庫調整は2022年末でほぼ終わるとの見方をしている。