TSMCは10月13日に2022年第3四半期(7~9月期)の決済発表会を開催した。四半期ベースで過去最高となった売上高6131億4000万NTドルをプロセス別で見ると、5nmプロセスが28%、7nmが26%となり、5/7nmだけで全体の54%を占めるまでに成長したとする。

  • TSMCの2022年第3四半期のプロセス別売上高比率

    TSMCの2022年第3四半期のプロセス別売上高比率(左)と7/5nmプロセスの売上高推移(右) (出所:TSMC)

また、最終製品別の売上高比率は、スマートフォン(スマホ)が前四半期比25%増で全体の41%を占めてトップ。次いでHPCが同4%増で39%を占めたほか、もっとも高い伸びを示したのは同33%増のIoTだが、全体の10%に留まっている。

  • TSMCの2022年第3四半期のアプリケーション・プラットフォーム別売上高比率

    TSMCの2022年第3四半期のアプリケーション・プラットフォーム別売上高比率(左)とそれぞれの前四半期比成長率(右) (出所:TSMC)

国・地域別の売上高比率を見ると、北米が72%、アジア・太平洋が10%、中国8%、日本5%、EMEA5%となり、米国が増加傾向、中国が減少傾向、日本はほぼ横ばいが続いている。

  • 国・地域別の売上高比率

    国・地域別の売上高比率推移 (出所:TSMC)

3nmは2023年に量産、2nmは2025年より生産開始へ

決算説明会の質疑応答において同社は、3nm(N3)プロセスの導入状況について、第4四半期後半の大量生産に向けて順調に進んでおり、歩留まりも良好だとしているほか、2023年にはHPCとスマホの両アプリでの採用件数の増加が見込まれるとしている。すでにN3に対する需要は、予定の供給能力を超えており、2023年中にフル生産にな、売上高としても全体の1桁台半ば%に到達することが予想されるとしている。

また、N3E(N3の改良版)の開発も順調に進んでおり、量産を2023年後半より予定。現在、半導体市場は軟化しているが、N3、N3Eともに顧客からの引き合いは高いレベルで推移しており、5nm(N5)の2倍以上のテープアウトが発生しているとのことで、こうした顧客からの強い需要への対応に向け、さらなる3nmプロセスの生産能力増強を検討しているとする。

2nm(N2)プロセスについても、技術的に難しいプロセスとしつつも、進捗は良好で、生産開始を2025年に予定。すでに顧客の予約が多く入っており、N3やN5に匹敵しているという。

同社ではこうした先端プロセスからの強い需要があることから、今後数年間でドルベースで年平均成長率(CAGR)15~20%を維持できると予想している。

また、2022年通年の設備投資は1割削減することを同社は明らかにしているが、2023年の設備投資についてはまだ説明できる段階にないとし、2023年1月に予定されている通期決算発表の場で説明するとしている。ただし、熊本ファブ、米国の5nmファブ新設や中国南京の28nmファブの拡張は計画通りとするほか、南京については16nmプロセスについて米国政府から1年間有効のライセンスをすでに獲得済みだとしているが、台湾高雄での28/7nmファブについては、7nmファブの建設時期を調整する意向を示した。

なお、懸念される米国の対中半導体輸出規制については、TSMCとしては管理可能との見方を示しており、今後も継続して状況を注視し、すべての規制を完全に順守していく方針としており、長期的な今回の輸出規制の影響をすべて正しく評価するのは現時点では時期尚早だとする一方で、(中国を含めて)世界中のすべての地域が重要であるということを強調。規則や規制を遵守するという条件の下で世界中のすべての顧客にサービスを提供するスタンスを示している。