Samsung Electronicsは10月3日(米国時間)、米国にてファウンドリ事業のイベント「Samsung Foundry Forum & SAFE Forum 2022」を開催し、Samsung FoundryプレジデントのSi-young Choi氏が、今後の技術ロードマップなどを開示した。
同社が提示した技術ロードマップの概要は以下の通り。 - 目標は2025年までに2nmプロセス、2027年までに1.4nmプロセスの大量生産 - 3nmプロセスから導入に成功したGate-All-around(GAA)構造をさらに強化して、2nmおよび1.4nmプロセスにも適用 - 2027年までに2022年比で先端プロセスの生産能力を3倍以上に拡大 - HPCや自動車を含む非モバイルアプリケーションが2027年までにファウンドリ生産の50%を超すと予想。2027年までにファウンドリのポートフォリオを拡大
2027年までに1.4nmプロセスでの量産を実現へ
Samsungのファウンドリ事業は、HPC、自動運転/ADAS、5G、IoTなど、高性能かつ低消費電力が必要とされる半導体市場をターゲットとしており、それらの市場成長に伴い先端プロセスの需要が増加していくことを見込んでいる。そのため顧客のビジネスの成功には、さらなる半導体プロセス技術の革新が求められるとし、同社では、2027年に1.4nmプロセスの量産導入をコミットメントとして掲げたという。
また、ファウンドリサービスにおけるトータルシステムソリューションの提供に向け、2.5D/3D異種統合パッケージング技術の開発も加速させているとする。特に、マイクロバンプ相互接続を備えた3Dパッケージング「X-Cube」は2024年に大量生産の準備が整うほか、2026年にはバンプレスX-Cubeが利用可能になる予定だとしている。
さらに、ロジックプロセスの微細化のみならず、各産業分野の顧客ニーズを満たすことを目的に、カスタマイズおよび調整されたプロセスノードも導入したとしている。具体的には、HPCおよびモバイル向けのGAAベースの3nmプロセスのサポートを強化する一方で、HPCおよび自動車アプリケーションに特化した4nmプロセスのさらなる多様化を進めるとしている。
加えて、自動車分野の顧客向けに同社は現在、28nmプロセスに基づく組み込み型不揮発性メモリ(eNVM)を提供しているが、将来のニーズに応えることを目的に、2024年に14nm eNVMを提供するほか、将来的には8nm eNVMも追加する予定としている。このほか、14nm RFプロセスに続く8nm RFプロセスについては量産開始済みで、すでに5nm RFプロセスの開発にも着手済みだという。
クリーンルーム新設にシェルファースト戦略を採用
Samsungのファウンドリ事業は、米テキサス州オースチン、韓国の器興、華城、平沢に加え、テキサス州テイラーに建設中の新ファブの5拠点体制だが、今回、同社は市場の状況に関係なくクリーンルームを構築するための投資を行う「シェルファースト」戦略についての説明を行った。
現状の半導体需要に関係なくクリーンルームを建設しておき、製造装置を需要に応じて後で設置することで、柔軟な運用を図ろうという新しい投資戦略で、これにより同社では、顧客の要求にきめ細かく対応できるようになると説明している。