AppleのiPhone 14シリーズ用有機EL(OLED)パネルの供給をめぐってSamsung Display(SDI)、LG Display(LGD)、中BOEの3社が激しく競い合っているが、SDIがAppleからiPhone 14 Pro Max向けOLEDパネルを2000万枚ほど追加注文を受けた模様だと、韓国の複数メディアが報じている。

韓国のOLED製造装置メーカーで、SDIの協力会社であるAP SystemやHB Solution、Philopticsなどに製造・計測装置の追加注文があったことで判明したという。SDIのOLED製造歩留りは競合に比べ高く、生産能力の点で優位にあると見られている。ただし、AppleやSDIからは本件に関する公式コメントは出ていない。

韓国のFPD業界関係者によると、iPhone 14シリーズには、SDI、LGD、BOEの3社がパネルを納品しており、iPhone 14 PlusとiPhone 14 ProはSDIが単独で、iPhone 14 Pro MaxはSDIとLGDが納品しているという。BOEのOLEDパネルを搭載したiPhone 14製品は主に中国内需市場に使われていると韓国業界関係者は見ている。

ディスプレイ市場調査会社DSCCによると、2022年6月から9月までの間に出荷されたiPhone 14シリーズ用OLEDパネルは3400万台ほどで、このうちSDIの割合が82%となっており、70%前半だったiPhone 13シリーズと比べてシェアを拡大させる見通しだという。もし、iPhone 14 Pro Max向けパネルの追加発注が正しければ、SDIのシェアはさらに高くなることが見込まれるという。

なお、BOEのiPhone 14シリーズへのパネル供給量は全体の数%ほどに過ぎないが、莫大な政府補助金と税制の恩恵を受けた中国企業がLCDに続き、OLEDパネル市場でも近いうちに韓国企業を脅かすのではないかと韓国パネル業界では警戒を強めており、数年のうちに中小型OLED市場でSDIとLGDは、中国勢にシェアを奪われる懸念があるとの声も韓国FPD業界からはあがっているという。