米国商務省は9月6日(米国時間)、8月にバイデン大統領が署名したCHIPS法の成立を受けて、商務省がどのように約500億ドルの分配を実施するかを概説した戦略を発表した。
それによると、商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)内にCHIPS for Americaプログラム実施のためのオフィスを設置し、米国内の半導体産業を活性化し、技術革新を促進すると同時に、米国内で高給の仕事を創出するとしている。
商務省は、プログラムの主な目標として次の4項目を挙げている。
- 現在、米国が世界の供給量の0%を占める最先端半導体の国内生産を米国に確立し、拡大する
- 成熟ノード半導体の十分かつ安定的な供給体制を構築する
- 研究開発に投資して、次世代の半導体技術が米国で開発および生産できるようにする
- 何万もの高給の製造業の仕事と、10万以上の建設業の仕事を創出する。この取り組みにより、女性、有色人種、退役軍人、農村地域に住む人々など、歴史的にこの業界に参加する機会がなかった人々に雇用機会を与える
また、このプログラムは、次の3種類の異なる半導体分野に補助金を支給し支援する予定となっている。
最先端半導体デバイスの製造への大規模な補助金(約280億ドル)
CHIPS法のインセンティブ(補助金支給)プログラムは、現在入手可能な最も高度な製造プロセスを必要とする最先端のロジックおよびメモリチップの国内生産(ウェハ製造およびパッケージング)を確立するために、約280 億ドルをあてる。
成熟半導体デバイス製造への補助金(約100億ドル)
軍事防衛や自動車、情報通信、医療などの重要な分野で使用されるチップを含む、さまざまなノードにわたって半導体の国内生産を増加させる。助成金獲得のために業界の参加者が創造的な提案をすることを奨励している。
研究開発における米国のリーダーシップを強化する補助金(約110億ドル)
CHIPS R&Dプログラムは、National Semiconductor Technology Center(国立半導体技術センター)、National Advanced Packaging Manufacturing Program(国立高度パッケージング製造プログラム)、最大3つの新しいManufacturing USA Institutes(米国半導体製造研究施設)、および NIST Metrology Research and Development Programs(計測研究開発プログラム)に投資する。この一連のプログラムは、米国の半導体エコシステムのための革新の新しいネットワークを作成することを目的としている。このビジョンを実行するには、学界、産業界、および同盟国との協力が必要であり、さらには長年にわたる継続的な投資が必要である。
2023年2月までに助成金の受け付け開始を目指す
米国商務省のGina Raimondo長官は、New York Timesのインタビューに対して「商務省は現在、50人の補助金支給審査官の採用を進めている。2023年2月までに企業からの補助金申請を開始することを目指しており、来春には資金の支給を開始できる見込みである」と述べているほか、補助金の使途を厳しく監視するとともに、補助金を受け取った企業が中国に先端半導体の工場を建設したり、自社株購入に補助金を使うなど法令違反した場合は、補助金を没収することを強調している。