米Micron Technologyは9月1日(米国時間)、150億ドル(約2兆円)を投じて本社があるアイダホ州ボイジー市に最先端メモリ工場を建設すると発表した。
今後10年かけて段階的に投資を行うとしている。同社は、今後10年間に世界で1500億ドル以上を製造と研究開発に投資する意向をすでに発表していたが、今回の発表はその一環であり、業界の長期的な需要動向に沿ったものだと説明している。Micron本社の既存の研究開発センターと同じ敷地に工場を建設することでに、より研究から量産に至る効率が向上し、技術展開が加速され、市場投入までの時間が短縮されると同社は説明している。
米国の半導体研究および製造強化に向けて527億ドルを提供するCHIPS and Science Act of 2022(略称:CHIPS法)が8月9日に成立した際、MicronのCEOであるSanjay Mehrotra氏は、CHIPS法の成立を称賛し、連邦政府の補助金やアイダホ州の税制優遇などのインセンティブを前提に今後10年間で米国に400億ドルを投じる計画であることを表明していたが、今回の投資はその第1弾だという。
新工場の建設に伴い2000人をMicronが直接雇用し、1万7000人の間接雇用(建設業者など)が創出されるとMicronは発表している
Sanjay Mehrotra氏は、「この新工場は20年ぶりに米国で建設される新しいメモリ製造施設となり、人工知能や5Gの採用が加速する自動車やデータセンターなどの市場セグメントに必要な最先端メモリを米国内に供給する。この最新鋭のメモリ工場により米国の技術分野における主導権が強まり、経済と国防にとって重要である半導体の安定的な供給を確かにする」と、新工場が米国政府の経済安保政策に呼応していることを強調し、補助金支給が前提であるとしている。
なお、米バイデン大統領も1日付で声明を発表しており、「今回のMicronによる発表は米国にとって大きな勝利だ」とコメントしている。
CHIPS法による半導体研究および製造に対する補助金支給総額は527億ドルだが、半導体デバイスの製造、ならびに製造装置および材料の製造に割り当てられるのは390億ドルほどで、米国内に新たな工場を新増設すると宣言している多数の半導体デバイス・装置・材料メーカーでこの金額をいわば山分けする形になることが想定されているが、その配分比率などはまだ公表されてはいない。