ピュア・ストレージ・ジャパンは8月25日、年次イベント「Pure//Accelerate Japan」を東京都内で開催した。これに先立ち、約3年ぶりに来日した米Pure Storage 会長兼CEOのチャールズ・ジャンカルロ氏と、日本法人代表取締役社長の田中良幸氏が記者向けに語った、同社の直近のビジネスアップデートについてお届けしたい。
「ストレージでサステナビリティにも貢献を」チャールズ・ジャンカルロ氏
同社の2022年度の年間売り上げは21.8億ドルだ。今年4月までの第1四半期の売り上げは約6億ドルであり、これは前年同時期比で50%増に相当するという。NPS(Net Promoter Score)は85.2を記録し、同社によると、B to B型企業の上位1%に位置するとのことだ。
特にサブスクリプション型製品の売り上げが好調なようで、ARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)は前年比から29%成長となる約9億円だ。
同社は昨年、ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)に関するレポートを公開した。その中では、同社の製品は他のフラッシュ製品と比較して使用エネルギーを最大80%削減し、廃棄物を半分以上削減できたと報告している。
さらに、磁気ディスクと比較するとエネルギー消費量も廃棄物の量も10分の1程度に抑えられるのだという。
同社は2023年度の売り上げ見通しを前年度比約22%増の26憶6000万ドルに引き上げ、非GAAP(Generally Accepted Accounting Principles)ベースの営業利益見通しを約12%増の3億2000万ドルに上方修正している。
ここで、ジャンカルロ氏は「当社の成長は毎年のように一貫して成長してきた」と述べ、業界内での同社の堅実な立ち位置を強調した。
「私が思うに、これまで非常に堅苦しく、変化が遅く、本当に古い技術に基づいていたストレージ業界に、私たちが革新をもたらせているのだろう」(ジャンカルロ氏)
同社は現在、アズ・ア・サービスモデルで提供する「Evergreen」シリーズを主力とする。同サービスはあたかもクラウドサービスかのように利用できるストレージで、ジャンカルロ氏は「当社がハードウェアとソフトウェアのパワーを常にアップグレードし続けるため、お客様は10年前に購入した商品でもまるで新品のように今日も使えて、さらにこの間にサービスを止める必要がなくなる」と説明していた。
同氏はもう一つのトピックとして、「Infrastructure as Code(コードとしてのインフラストラクチャ)」を紹介した。これは、通常数日から数週間を要するストレージのプロビジョニングを、コードを使用することによって迅速に行うためのアプローチである。
「Infrastructure as Code」の活用により、ユーザーは要求してから数分以内にコンピュータ、ネットワーキング、ストレージなどのインフラを手に入れ、アプリケーションの開発を始められるようになるのだという。
ジャンカルロ氏は「従来のお客様が気にするのはストレージの性能と価格ばかりだったが、ESGのためにこの1年で様子が大きく変わった。当社の製品はエネルギー効率が高いだけでなく廃棄物も少ないように設計しているうえ、有用な金属は可能な限り再利用している」と、サステナビリティの観点から同社の有意性を訴えてステージを降りた。
「DX時代のデータマネジメントに寄与したい」田中良幸氏
続けてステージに登場した田中良幸社長は、日本での同社の現状を説明した。
ストレージ業界のマーケットシェアの成長率を見ると、2021年は市場全体で17.2%縮小したという。こうした状況の中、同社は50.8%の成長を遂げられたとのことだ。田中氏は「全体的に落ち込んだ市場の中で私たちが成長できたのは誇るべきことであり、当社を認めてくださったユーザーの皆様に感謝したい」と述べていた。
さらに、同氏は日本企業におけるトレンドとして「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「セキュリティ」「クラウド」の3点を紹介した。近年のDXへの取り組みが駆動力となって、データの保有の仕方を真剣に議論する組織が増えているのだという。
企業の目的は競合に勝つことであり、いかに永続的にデータを駆使し続けられるかを考えるのが重要だ。そのためにも、堅牢なセキュリティが伴っている必要がある。田中氏は「クラウドの利活用がデータ活用の時代を加速していると言っても過言ではないだろう」とも述べていた。
「劇的に変化している時代の中で、データをどのように持つべきかを多くの企業が考え始めている。こうした状況が広がるほど、当社のデータサービスが貢献できる環境が広がるだろう」と田中氏は今後の成長への意欲も見せていた。