フラッシュメモリに関するシンポジウム「Flash Forward Japan」が8月10日に東京で開催され、衆議院議員で半導体戦略推進議員連盟会長の甘利明氏が来賓として挨拶した。
甘利氏は、「日本の半導体産業が過去30年にわたり凋落してきているが、『日本の半導体の何が間違っていたのかを理解したい』との思いで、過去の半導体について勉強している」とした。今後の半導体の動向を学ぶため、東京大学の黒田忠広教授を訪問し、市場やテクノロジーの変化に素早く対応すること、つまりアジャイルな対応の大切さを認識したとも述べた。そして、これらを踏まえて、日の丸半導体復活に向けてできるところから手を付け始めているとした。
これまで経済産業省は、特定の1社に向けた補助金政策は行っておらず、複数社が集まる形の業界コンソーシアムを形成させる形をとってきた。しかし、ほとんどのそうしたコンソーシアムは大きな成果を上げることができずに終了を迎えていた。そうした過去を踏まえ、ここに至って法律を改正し、TSMCとソニー、デンソーの熊本工場(JASM)への誘致に際して補助金の支給が可能なように立法化して対処したことを同氏は成果として強調した。また、自民党半導体推進議員連盟を立ち上げて会長に就任した時には、すぐにオランダ政府が接触してきたという。日本が本気で半導体に力を入れるなら、オランダは日本が再び有力市場になりうると見たようだという。
また、同氏は「半導体プロセスノードは、3nm、2nmを目指すようになってきており、チップレットやさまざまなチップの機能やメモリなどを集積する3D/2.5DのICや、エッジコンピューティングなどフェーズが変わる場面に直面している」として、先端半導体の開発および生産に向けた政策動員を訴えた。
2022年5月の日米首脳会談で合意された「次世代半導体共同開発のための作業部会設立」を具現化するべく、去る7月29日に、ワシントンD.C.で萩生田経済産業大臣(当時)と米国商務省のレモンド長官が詳細を詰め、日本国内に「次世代半導体製造技術開発センター(仮称)」の年内設立が発表された。
甘利氏が2021年12月開催のSEMICON Japan 2021にて述べていたBeyond 2nmの半導体技術の米国からの習得および量産工場の誘致が実現味を帯びてきた。その実現のために、自民党半導体戦略推進議員連盟は、官民で10兆円が必要だと判断し、「10兆円規模の追加投資を行うべく本年度補正予算をはじめ機動的に支援を拡充していくべきだ」と強調している。