宿泊棟本体は建設現場にアームロボットが持ち込まれ、基礎の上に直接印刷を行う「オンサイトプリンティング」が採用された。建物の高さは2.6mで、床面積は9.8m2。各宿泊棟は5~6枚のパーツで構成されており、準備や調整をふくめて1日1~2枚ずつ印刷が行われた。

工程や機材繰りの関係から、オンサイトプリンティングは2022年1月の厳冬期にスタート。真冬には氷点下20度以下まで冷え込む厳しい環境であるため、建設当初は材料の硬化が遅くなり、積層が崩れてしまうという問題も発生したという。それに対しては、仮囲いを使った適切な温度管理などを行い、冬季施工を乗り切ったとする。

2層の中空層を持つ宿泊棟の外装は型枠代わりに使用され、外側の層にはコンクリートを充填して配筋を施した鉄筋コンクリート造の構造体が作られ、内側の層には断熱材が充填された。

一方、宿泊棟の周囲を囲う塀は高さ1.2m、直径がおよそ12m。こちらはオンサイトプリンティングではなく、ロボットの準備や調整短時間で行え、工期をより短縮できることから、工場での連続的な印刷が採用され、印刷された12枚のパーツをプレキャスト部材として現場に運び込み、模様がひと続きになるように組み合わされたとする。

  • C3DPで印刷された太陽の森ディマシオ美術館に併設するグランピング施設

    C3DPで印刷された太陽の森ディマシオ美術館に併設するグランピング施設 (出所:會澤高圧コンクリートWebサイト)

會澤高圧コンクリートは、C3DPについて2018年にオランダのCyBeConstructionと技術提携してスタートさせ、これまでさまざまなものを印刷してきそうだが、宿泊を伴う居住空間を印刷したのは今回が初めてのことになるという。

C3DPを用いることで施工スピードを向上させられ、省人化と工期短縮が期待されている。ただし、それだけでなく、C3DPだからこそ実現できる特殊な形状やテクスチャーを発注者との対話を通じて生み出し、新しい建設の価値を創造して行く考えとしている。

C3DPによる今回の建築の様子のタイムラプス動画 (出所:YouTube AIZAWAchan)