會澤高圧コンクリートは7月28日、アームロボット式のコンクリート3Dプリンタ(C3DP)を用いて、デザイン性の高い建築物や造形物を施主との対話を通じて設計施工するC3DP事業を本格的にスタートさせたことを発表した。

またその第一弾として、北海道新冠町の太陽の森ディマシオ美術館に併設するグランピング施設の建築を受注し、同日グランドオープンを迎えたことも併せて発表された。

今回の発注元である太陽の森ディマシオ美術館は、幻想絵画の鬼才として知られる、ロンドン在住のジェラール・ディマシオ氏の代表作を200点以上展示している美術館。ディマシオ氏の世界観を通常の建築手法では表現しきれないとして、自由な造形が可能なC3DPに白羽の矢が立ったという。コンセプトを巡る対話を通じて、デザインの擦り合わせ、テストプリントを何度も繰り返した結果、同美術館にふさわしい意匠性に優れ、耐久性も高い建築が可能になると判断され、本採用に至ったという。

北海道日高の雄大な山脈とサラブレッドの牧場に囲まれた大自然の中に位置するディマシオ美術館のグランピングのコンセプトは「自然・宇宙・アートとの共生」だという。元々は5棟だった計画のうち3棟の建設を先行させることになったとする。

「自然との共生」をテーマにした「nitay」(ニタイ:森の意)では、大地をモチーフに重厚感を意識した印刷が行われた。「宇宙との共生」をテーマにした「sinta」(シンタ:ゆりかごの意)には、古代神話の宇宙観を示す卵形が採用されている。「アートとの共生」をテーマにした「nonno」(ノンノ:花の意)は、縄文から続く菱型などの植物文様をモチーフに、アール・デコ調の幾何学的なテクスチャーが採用されている。

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    今回印刷されたグランピング施設は3種類。(左)「自然との共生」をテーマにした「nitay」。(中央)「宇宙との共生」をテーマにした「sinta」。(右)「アートとの共生」をテーマにした「nonno」 (出所:會澤高圧コンクリートWebサイト)

デッサンや3Dデータなどによる最初のデザイン案をたたき台に、テストプリントの質感を施主と共有してイメージを合わせながら、ほかにはない形状や凹凸感が実現されたという。

  • 3Dプリント中の様子

    3Dプリント中の様子 (出所:會澤高圧コンクリートWebサイト)