市場動向調査会社である米Gartnerは7月27日(米国時間)、2022年の半導体市場規模について前年比7.4%増の6392億ドルになるとの見通しを発表した。

同社が5月に発表していた同13.6%増の成長率からの下方修正となる。世界半導体市場統計(WSTS)が6月に発表した春季予測では2022年の半導体市場を16.3%増としていたが、7月に入って半導体をとりまく状況が悪化してきている様子が見えてきた模様である。

また、併せてGartnerは、2023年の半導体市場についても4月時点での予測では7000億ドルを超えるとしていたが、今回の予測では同2.5%減の6231億ドルに下方修正している。

  • Gartnerによる2022年の半導体市場予測

    Gartnerによる2021年の半導体市場売上高(実績値)と2022年7月末時点で下方修正が行われた2022年・2023年の半導体市場規模 (出所: Gartner)

2022年の半導体市場見通しについてGartnerでは、経済状況が年間を通じて悪化することが予想されたことから、前回予測と比べて下方修正をしたとしている。特にPCやスマートフォン(スマホ)などの消費者関連分野においてメモリの需要と価格設定が軟化しており、成長の鈍化しているという。

例えばPCの出荷台数は、2020年と2021年にプラス成長となった後、2022年は同13.1%減とマイナス成長となる見込みであり、当該分野の半導体売上高も同5.4%減となるとGartnerでは予測している。一方のスマホ分野の半導体売上高も、2021年には同24.5%増と好調であったが、2022年は同3.1%増と成長率が鈍化するとの見込みを示している。

市場の減速から半導体在庫は急速に回復してきており、最終セット製品の製造現場におけるリードタイムは短縮し始めていることもあり、半導体価格は下落傾向にあるとGartnerは指摘している。

なお、Gartnerの調査担当バイスプレジデントであるRichard Gordon氏は、「半導体の最終市場、特に個人消費市場にはすでに弱さが見られる。世界的なインフレ、増税、金利の上昇など、エネルギーと燃料コストの上昇とともに、消費者の可処分所得に圧力をかけている。これは、PCやスマホなどの電子製品への支出に影響を与えている」と述べている。

また、半導体市場がダウンサイクルに入っている状況について、「このような現象は新しいことではなく、これまで何度も起こっている。消費者向けビジネスは減速するものの、クラウドインフラストラクチャへの投資は続くため、データセンター市場からの半導体売り上げは長期にわたって回復力を維持する。2022年もデータセンター向け半導体需要は年率20%の成長が期待できる。また、自動車用電子機器セグメントも引き続き2桁の成長が期待できる。自動車は、電気/電子(E/E)化やADASの進化により、車両の半導体搭載量が増加するため、今後3年間で、車両1台に搭載される半導体は金額ベースで2022年の712ドルから2025年には931ドルに増加すると予測している」と、半導体の将来性について補足している。