ファナックは、6月7日から10日まで東京ビッグサイトで開催されていた食品関連の機械や装置に関する技術展示会「FOOMA JAPAN 2022」(国際食品工業展)で、同社初のオールステンレス製のパラレルリンクロボットが鶏肉をトレイに入れるデモや、複数個の食品缶を箱詰めするスカラロボットを披露した。

オールステンレス製ロボットで耐腐食性に優れたパラレルリンクロボット

「DR-3iB/6 STAINLESS」はオールステンレス製のパラレルリンクロボット。ステンレス製のため、対腐食性に優れ、排水性が考慮されており、清掃しやすい点が特徴だという。

同社は、すでに食品に対応したロボットを上市しているが、オールステンレス製の製品は初めてという。

同ブースでは、DR-3iB/6 STAINLESSとソフトハンド「mGrip」を組み合わせ、鶏肉(サンプル)をトレイに並べるデモが披露された。1分間に90個以上の鶏肉をトレイにいれるという高速動作も見どころだ。

  • DR-3iB/6 STAINLESS。ソフトハンド「mGrip」と組み合わせ、鶏肉をトレイに入れるデモを行った

    DR-3iB/6 STAINLESS。ソフトハンド「mGrip」と組み合わせ、鶏肉(サンプル)をトレイに入れるデモを行った

ソフトハンド「mGrip」は、柔らかい樹脂でできており、高速に把持できるほか、把持力の調整も可能で、生肉といった柔らかいものに適しているという。樹脂製のため、洗浄も簡単だ。

  • ソフトハンド「mGrip」。柔らかい樹脂製で、生肉といった柔らかいものをつかむのに適しているという

    ソフトハンド「mGrip」。柔らかい樹脂製で、生肉といった柔らかいものをつかむのに適しているという

食品缶12個をまとめて取り出せるスカラロボット

同社の20kgまで可搬のスカラロボット「SR-20iA」と多数個取りハンドを組み合わせ、12個の食品缶をまとめて箱詰めするデモも展示された。

SR-20iAは、耐薬品性に優れたエポキシ塗装(白色)や、ジャバラカバー、防錆ボルト適用オプションを選択が可能だ。

リーチ1100mm、上下方向はオプションで最大450mmストロークという広い動作範囲と20kgという可搬質量で食品缶といった重いものもスムーズに取り扱うことができる。

  • スカラロボット「SR-20iA」は20kgまで可搬のため、食品缶といった重いものも12個同時に持ち運ぶことができる
  • スカラロボット「SR-20iA」は20kgまで可搬のため、食品缶といった重いものも12個同時に持ち運ぶことができる

食品の製造工程では、自動化が進む一方で、人海戦術に頼らざるを得ない工程も多数存在している。一方で、厳しい作業環境で働き手の不足は顕著だ。さらに、コロナ禍においては、人が集まっての作業ができないという、これまで想定していなかったリスクも顕在化し、人に頼らない生産の実現が課題となっている。

そのため、同社では「限られた人数で、安定した生産、品質の高い生産を実現する自動化ソリューションを求める層」の来場を想定したという。

また、同社に今回の出展を含めた食品業界での展望を聞くと「協働ロボットの出現により、人の作業を補助したり、人の近くで安全柵なく作業する事が可能になった。多品種少量、変種変量に対応できる省力化システムを協働ロボットで実現出来るように、お客様の要望に応えていきたい。さらには、食品工場の環境対応型ロボットにより、食材の加工工程において汎用性の高いロボットの活用が広がるように努めていく」とした。