急激なインフレ、エネルギーコストの高騰、さまざまな理由で起きるサプライチェーンの不具合、中国での新型コロナに起因する長期の都市封鎖、ロシアのウクライナ侵攻など、世界経済に対するさまざまな逆風が吹く中で、半導体市場動向調査会社である米IC Insightsは2022年の半導体市場予測のアップデートを実施。前年比11%増の6807億ドルと、過去最高を更新すると予測している。

この予測は、同社が今年1月に公表した予測と同様の値であり、成長率そのものに変更はないこととなる。ただし、新たに更新されたカテゴリ別売上予測の内訳をみると、以前の予測とは異なったものとなっている。

今回のアップデートでは、アナログIC(前年比12%増)とデジタルIC(同11%増)に変更はなかったものの、マイクロコンポーネントICの売上予測を前回予測の同7%増から同11%増に引き上げている。この成長率は、組み込みMPUカテゴリ(前回は同9%増、今回予測では同12%増)およびスマートフォンアプリケーションプロセッサ(前回予測は同10%増、今回予測は同22%増)といったマイクロプロセッサの売上増によるものである。

一方、非IC半導体市場カテゴリ(オプトエレクトロニクス、センサとアクチュエータ、およびディスクリート半導体(O-S-D))の2022年の総売上高予測は、前回予測が同11%増であったものが、今回は同9%増(1136億ドル)に下方修正されている。中でもCMOSイメージセンサと照明デバイス(ほとんどはLED)の伸びが弱いと見られ、2022年のオプトエレクトロニクス市場は前回予測の同13%増から、同6%増に下方修正されたことが大きい。ただし、このマイナス分はディスクリート半導体の増加(前回予測は同5%増、今回予測は同9%増)によって部分的に相殺されている。

また、パワートランジスタならびにダイオードが世界的な供給の逼迫と平均販売価格(ASP)の上昇により売り上げが増加しているとするほか、センサ/アクチュエータに関する予測は同15%増と据え置かれたままとなっている。