これまでのマイクロ波照射技術では、照射領域・周波数帯域・マイクロ波強度の3要素を同時に実現することが難しかったが、今回の研究により、伝送線に意図的な凹みを組み込んだ「ノッチ構造」であれば、これらの要求を満足させられることが見出されたとする。
また、マイクロ波への給電経路の詳細分析から、工学的な視点での経路の再設計を実施。この構造を用いて、実際にガラス基板上の蛍光ナノダイヤモンド量子センサの光検出磁気共鳴信号が測定されたところ、数値計算による予測値と良い一致が再現性高く得られたとするほか、細胞(ガン細胞・幹細胞)や組織切片、線虫といった生体試料に適用した場合も、事前に予測された設計通りの磁気共鳴信号が得られたとする。
なお、研究チームによると、近年のバイオ分析チップは、生体試料の分析以外にも、マイクロ流路内に細胞を培養して臓器モデルを構築する「臓器チップ」などへの応用が進んでおり、今後、医学・生命科学研究において量子センサの活用が進むことが期待されるとしている。