TSMCが2022年6月にも1.4nmプロセスの開発を台湾南部サイエンスパーク(台南市)にあるFab18で開始する模様であるという話を、同社のサプライチェーン関係者の情報として複数の台湾メディアが報じている。
TSMCは、2022年8月より新竹にある本社近くのFab12 (R&D Center)のP8製造棟および台湾南部サイエンスパークのFab 18BのP5製造棟の2拠点にて3nmプロセスの量産を開始する予定としているが、これまで3nmプロセスの開発を担当してきたメンバーたちを、新たに1.4nmプロセスの開発に配属し、技術の研究開発の第1段階(TV0)に入るのではないかと見られるという。研究開発はその後、TV1、TV2と段階を踏むこととなるが、各段階がそれぞれ半年~1年かかるとすれば、2nmプロセスによる量産が予定されている2025年にも1.4nmプロセスのリスク生産に入れる見通しとなるという。
競合であるIntelは、2024年下半期に「Intel 18A(1.8nm相当)」プロセスを用いた生産の開始を予定しているほか、Samsung Electronicsも2025年に2nmプロセスの量産を計画しており、TSMCでは、プロセスの研究開発速度を速めることで、そうした競合を引き離す構えであるという。
また、こうした先行した取り組みは、AppleのiPhone用プロセッサの製造受託をIntelに奪われないように牽制する意味合いもあるという。
TSMCはIntel 18Aの開発の状況を注視しており、場合によっては、Intelへの対抗として2nmプロセスより1.8nmプロセスの受託生産サービスを先行させる可能性もあるという。
Intelは、社内での先端プロセスの開発が復調したと語っている割にはTSMCに3nmおよび2nmプロセスを用いた自社のCPUやGPUの生産委託の予約をしているといわれている一方で、ファウンドリ事業でTSMCの顧客を奪おうとしているともいわれており、現在、複雑な関係となっている。
なお、TSMCが5月10日に発表した2022年4月度の連結売上高は、前年同期比55.0%増、前四半期比0.3%増の1725.6億NTドルとなっている。これにより、1~4月の合計売上高は、前年同期比40%増の6636.4億NTドルとなり、好調が続いていることをアピールしている。