ノートパソコンに欠かせない「タッチパッド」

ノートパソコンにはキーボードとともに「タッチパッド」と呼ばれるデバイスが搭載されているモデルが多い。タッチパッドはキーボードよりも手前に配置されていることが多く、キーボードを使いながら指でタッチパッドを操作できるようになっている。タッチパッドを使うことでマウスポインタを動かしたり、スクロールやズームイン・アウトなどの操作を行ったりできる。ノートパソコンにはなくてはならないデバイスだ。

  • Dell XPS 17

    Dell XPS 17

一方、デスクトップパソコンにはタッチパッドが同梱されていることは少ない。多くの場合、デスクトップパソコンに同梱されている入力デバイスはキーボードとホイールマウスで、タッチパッドは同梱されていないのだ。

「マウス」と「タッチパッド」は「相互補完」の関係

マウスとタッチパッドはどちらも「ポインティングデバイス」という種類の周辺入力機器に分類される。ノートパソコンはサイズや形状の制約上タッチパッドを配置することが多い。デスクトップパソコンは比較的手を置く空間に余裕があることが多く、マウスが同梱されていることが多い。

マウスもタッチパッドもマウスカーソルを動かしたり、クリックしたりといった基本的な操作は同じだが、まったく同じ操作を提供するものではない。

例えば、タッチパッドは指を2本つけた状態でそれら指を広げる操作(ピンチアウト)を行うと「ズームイン(拡大)」を行うことができる。逆に、指を狭める操作(ピンチイン)を行うと「ズームアウト(縮小)」を行うことができる。これは感覚的に自然な操作であり、スマホやタブレットデバイスのスクリーンでも自然と行っている。

マウスでこの操作ができるかといえば、一般的な3つボタンホイールマウスで同じ感覚の操作を行うことは難しい。タッチパッドはこれ以外にも複数の指を使ったさまざまな操作ができるのだが、同じ感覚の操作をマウスで実現することは難しい。

逆も然りだ。慣れの問題もあるが、マウスカーソルの移動はタッチパッドよりもマウスのほうが俊敏で速い傾向がある。タッチパッドよりも広い空間を素早く移動させることができるためだ。

同じポインティングデバイスだが、「マウス」と「タッチパッド」は特性が異なる。どちらか一方を使うという選択肢ではなく、操作の効率を追い求めるなら「どちらも使う」という選択肢のほうがロジカルだ。

そこで、Apple Magic Trackpadの出番

そして、特に欲しくなるのがデスクトップパソコンを使っているときの「タッチパッド」だ。普段スマホやノートPCに慣れていると、2本指で拡大縮小の操作ができないとイラッとすることがある。タッチパッドで特によく使う機能というのは実はそれほど多くはないのだが、そのいくつかの操作ができないだけで「イラッ」とするのだ。

  • Apple Magic Trackpad

    Apple Magic Trackpad

タッチパッドで優れた体験を提供している製品の一つにAppleのMacがある。MacBookに搭載されているタッチパッド(Macではタッチパッドではなく「トラックパッド」と呼ぶ)が提供するUXは秀逸だ。操作性もよく、オペレーティングシステムが提供するアクションもスムーズで効率的だ。MacBookを使ったことがあるユーザなら、同じ操作をWindowsでも使いたいと考えるのはロジカルな思考といえる。

Appleはトラックパッドだけを「Magic Trackpad」として販売しているので、まったく同じとはいかなくても、原理的にはWindowsのデスクトップパソコンでも使えるはずである。

しかし、WindowsはApple Magic Trackpadをサポートしていない

まず前提として、AppleはネイティブなWindowsパソコンで「Magic Trackpad」を利用することを想定していないし、サポートもしていない。AppleはMacで使うことを想定してMagic Trackpadを提供している。そして、MicrosoftもAppleのMagic Trackpadはサポートしていない。排除しているわけではないが、サポートもしていないのだ。

もちろん、Magic Trackpadも基本的にはタッチパッドなので、準備を行わなくても「1ボタンマウス」としてはすぐに使うことができる。Bluetoothで接続すればすぐに利用が可能だ。しかし、1ボタンのマウスとしての機能しか使えないので、かなり贅沢な使い方となる。タッチパッドの価格はさまざまだが、Apple Magic Trackpadは高額なほうに分類される。このデバイスを1ボタンマウスとしてだけしか使わないというのは費用対効果が悪い。