半導体市場動向調査会社である米IC Insightsは、2022年のNAND型フラッシュメモリの設備投資額が前年比8%増の299億ドルになるとの予測で、2018年に記録した278億ドルを上回り、過去最高を更新すると発表した。
NAND向け設備投資の額は、3D NANDに本格移行した2017年に急増して以降、毎年200億ドルを超す規模で推移してきた。IC Insightsでは、2022年はNANDの高い需要を背景に、積極的な設備投資による増産が予測されるという。
この299億ドルという額は、2022年のIC業界全体の設備投資額(予測値)である1904億ドルの16%に相当し、最大市場であるファウンドリ(41%)に次ぐ規模だという。
各社の投資状況
近年、新設・増設されたNANDファブとしては、トップシェアのSamsung Electronicsの平澤(ピョンテク)事業所のライン1および2(DRAMおよびファウンドリにも使用)、中国西安事業所の第2期投資があげられる。この西安のファブは、同社の最先端NAND工場であり、2つのファブそれぞれが完全に稼働すれば、月産12万枚の生産量になるとされている。
また、2位のキオクシアは四日市工場のFab 6と北上工場のFab K1のほか、北上工場の2棟目となるFab K2が2022年4月に着工する予定。このほか、SK Hynixが、本社利川(イチョン)工場のファブM15(DRAM量産ライン)の残りのスペースにNANDラインを設置したほか、Micron Technologyがシンガポールに3番目のフラッシュメモリファブを「Fab 10A」を立ち上げている。
NANDサプライヤ各社は、2022年末から2023年にかけて3D NANDを200層以上にする準備を進めており、その実現のために新ファブと新規製造装置が必要になる。SamsungとMicron、SK Hynixの3社が176層の量産を行っているが、このうちSamsungとMicronは200層以上の3D NANDを2022年後半に他社に先駆け量産を開始する可能性がある。また、SK Hynixは、2023年に196層へ移行するものとみられるという。