Intelはバルセロナで開催されている「MWC 2022」の基調講演で、Xeon-D 1700/2700シリーズほかいくつかの発表を行ったので簡単にご紹介したい。
まず大きなトレンドとして、vRAN/ORANを採用するケースが次第に増えつつあるとし(Photo01)、そのvRAN向けの本命(?)は、間もなく登場する予定のSapphire Rapidsベースの次世代Xeonで、これによりvRANのキャパシティを2倍に出来る(Photo02)としている。
ただこれは登場までもう少し掛かる。実をいうと2月10日にThe Next Platformが、LANL(米ロスアラモス国立研究所)に次世代のHPCシステムであるCrossroadsのシステム搬入が始まったことを報じており、1年遅れた米アルゴンヌ国立研究所向けのAuroraにもすでにSapphire Rapidsの納入が始まっていると思われるが、ただ一般出荷までにはまだちょっと時間が掛かりそうである。
さて、vRAM/ORANのメインにはSapphire Rapidsを充てるとして、その周辺とか足回り向けに今回発表されたのがXeon D-1700/2700シリーズである(Photo03)。
今回Intelは、実に36製品ものXeon D-1700/2700シリーズをラインナップした。表1がそのSKUであるが、2コア/4スレッドから20コア/40スレッド、TDP 25W~129Wと随分バラエティに富んでいる。
Xeon D-1700シリーズは45mm×45mmのパッケージ(Photo04)で最大10コア、メモリは2ないし3chの構成。Xeon D-2700シリーズは52.5mm×45mmのパッケージ(Photo05)で、最大20コア、メモリは4chとなっている。
PCIeもD-1700シリーズはx16、D-2700シリーズはx32となっている。アーキテクチャはいずれもIce Lakeベース。製造は10nmプロセスとなっている。実はこの前のXeon D-1600/2600シリーズは、なんと14nmプロセスのBroadwellベースだったことを考えると、随分間が空いたという気もする。このXeon D-1700/2700シリーズは、従来(つまりBroadwellベースのXeon D-1600/2600シリーズ)と比べて、SDN周りのさまざまな処理が1.5~2.4倍高速、とされている。すでにこのXeon D-1700/2700をベースとするパートナーが多数アナウンスされており(Photo07)、今後これを搭載するアプライアンスが多数登場するものと予想される。
最後の話はOpenVINO 2022.1のリリースである(Photo08)。
今回あまり詳細は語られなかったが、現在の5G(~3GPP Release 17)に続く5G Evolution(3GPP Release 18~)では、全面的にAI/MLが利用される方向性が打ち出されている。例えばSA2には“System Support for AI/ML-based Services”なんて項目があるし、RAN1(Phyrical Layer)にもAI/MLが利用される方向性が示されている。まだサービス開始には時間があるが、そうは言ってもそろそろ実装に向けて色々考える時期であり、こうしたケースでIntelのAI Processor Portfolio(Habana/Gaudiと、あとはSapphire Rapidsなどの汎用プロセッサ)をOpenVINO経由で簡単に利用できるようになる、という話である。
ちなみにXeon Dはすでに量産出荷を開始しているとされるが、モノがモノだけに直接リテールに流れる訳ではなく、Photo07に出て来たパートナーからアプライアンスの形で提供されることになる。例えば独contatecは今回の発表に合わせ、合計10製品のCOM-HPC Serverモジュールを発表している。今後は各社からこうしたものが大量に登場すると思われる。