Samsung Electronicsは1月27日、2021年第4四半期ならびに通期業績を発表した。それによると、同四半期の売上高は76.57兆ウォンで四半期別での過去最高を更新したという。また、営業利益は13.87兆ウォンで、従業員への通常のボーナス(年俸の5割)に加えて、好業績による特別一時金を支払ったことにより前四半期比で減少したが、前年同期比では増加となっている。この結果、通年の売上高も過去最高を更新する279.6兆ウォンとなり、営業利益も51.63兆ウォンとなったという。

2021年の設備投資48兆ウォンのうち9割が半導体向け

2021年、同社は48.2兆ウォンの設備投資を行い、そのうち半導体が43.6兆ウォン、ディスプレイが2.6兆ウォンを占めたという。半導体への支出は、EUVベースの15nm DRAMや第6世代V-NANDなどの高度なプロセス需要や、ファウンドリにおける5nm EUVノードの生産能力拡張を中心としたもので、ディスプレイに関しては、モバイルモジュールと量子ドット(QD)ディスプレイが中心となったという。

そんな同社の半導体事業の2021年通年の連結売上高は前年比29%増の94.16兆ウォン。3期ぶりに過去最高を更新した結果、Intelの業績を上回ることとなり、半導体の売上高で世界トップへと返り咲くこととなった。

またその営業利益は前年度比55%増の29.2兆ウォンで、メモリバブル期(2017~2018年)の営業利益には達しなかった。中心となっているメモリ事業の売上高は、メモリ価格が下落し、ビットの伸びが自社ガイダンスを下回ったため、前四半期比で減少した。一方のファウンドリ事業は四半期売上高で記録を更新したものの、先端プロセスの立ち上げにかかるコストの上昇により、収益性は前四半期から低下することとなった。

2022年もメモリ事業は好調を持続

同社によると2022年第1四半期におけるメモリ事業は、新型コロナウィルスの変異株によるリスクはあるものの、先端の高価値製品の販売を増やすなど、ポートフォリオのバランス強化として、サーバ/PC需要への対応を図っていくとしている、。

DRAMについては、データセンターを中心とした投資の増加に伴う高密度トレンドが継続するほか、LPDDR5の割合が増加傾向にあるモバイル需要も堅調だとしている。一方のNANDについても、サーバSSD需要が堅調に推移すると予想されるほか、PC需要も主にノートPCで回復が進むと見られている。また、モバイルについても、スマートフォンメーカーが新しい5Gモデルを発売するにつれ、ストレージの高密度トレンドが続くと予想している。

システムLSI事業も好調が持続

メモリビジネスに次ぐ事業として期待されているシステムLSI事業の2021年第4四半期売上高は、SoC、DDI(ディスプレイドライバIC)、PMIC(パワーマネジメントIC)などの需要増加により四半期別での過去最高を記録したという。また、同四半期より、4nmのAMD GPUを搭載したSoCの供給を開始したほか、108M(約1億)ピクセルのイメージセンサの採用数が増加したという。

こうした好調さから同社は2022年第1四半期も有機EL向けDDI、NFC/eSE、およびPMIC製品の需要が引き続き堅調であると予想しているほか、GPUとNPUを改良したSoCや超高解像度イメージセンサの供給を拡大することも計画している。

HPCからの受託増となったファウンドリ事業

そして、成長の期待がかかるファウンドリ事業の2021年第4四半期は、HPCアプリケーションの新規注文を確保するなど高い売上高を記録したとする。

また、2022年第1四半期については、半導体供給の安定性向上に向け、歩留まりの向上に注力するとしている。さらに、2022年上半期中に第1世代Gate-All-Around(GAA)プロセスを立ち上げ、技術的に他社の先駆けを図ろうとしているという。

なお同社では、2022年も引き続き、供給がタイトになると予想しており、先端プロセスの生産能力の拡大を図り、価格を抑えることで新規顧客の獲得を目指すとしている。