IntelのPat Gelsinger CEOが、12月13日夜にプライべートジェットで台湾の桃園国際空港に到着し、翌14日に滞在先のホテルでTSMCのトップ経営陣と会い、IntelのCPU/GPUをTSMCの3nmプロセスで製造委託する最終確認を行った模様であると台湾の複数メディアが報じている。ただし、同氏のスケジュール、会談内容などは一斉明らかにされておらず、Intel、TSMCともに公式コメントは出していない。

台湾は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、入境が厳しく規制されている。Gelsinger氏は、台湾の経済に大きな利益をもたらす企業の人間として入境を特別に許可を得て入境したが、ホテルからの外出は許可されなかったという。TSMCとの会談を得て、同氏は15日午前に台湾を去り、次の訪問先とみなされるマレーシアの同社後工程工場に向かったと言われている。

TSMCの3nmプロセスは、すでにAppleが相当量の生産予約を行っていると見られており、今回のGelsinger氏自らの訪台は、その生産枠の確保に向けた最終交渉を行うこと、ならびにTSMCとの協力関係の強化に向けたものと推測される。

Intelは、自社の2nmプロセス(Intel 20A)が立ち上がる予定の2025年まではTSMCに製造委託するものとみられるが、Intel 20Aは、トランジスタ構造を従来のFinFETからGate-All-Around(Intelの呼称はRibbonFET)へ変更するため、製造難易度がこれまで以上に上がり、計画通りの開発ができるかどうかは未知数である。場合によっては、TSMCへの生産委託を継続し、3次元実装とソフトウェアに注力することでライバルとの差異化を図るとの見方もでている。

現在、TSMCの最大顧客はAppleで、全社売り上げの26%を占めるほどだという。一方のIntelは0.84%ほどに留まっているが、協力関係が強まれば、Intelの占める割合が2番手ないし3番手にまで高まる可能性が高いと多くの台湾メディアが伝えている。