オーストリアams OSRAMは、12月1日よりパシフィコ横浜で開催される国際画像機器展2021にて展示予定製品の紹介と併せて、同社の最新状況などの説明を行ったので、これをご紹介したいと思う。
amsによるOSRAMの買収が完了
まず本社について。2019年8月、amsは独OSRAM Lichtに対して現金による全株買収の提案を行っている。ただこの提案は即座に受け入れられるものとはならず、両社はこの後延々と交渉を繰り返すことになる。最終的に買収が成立したのは2020年7月の事であり、規制当局の承認などを経てDPLTA(Domination and Profit and Loss Transfer Agreement:支配と損益の移転契約)が発効したのは今年3月3日の事である。これにあわせて、新しいams OSRAMというブランドが誕生し、現在はこのams OSRAMというブランドの元で旧amsと旧OSRAMのビジネスが一体となる形で運営が行われている。
また日本では、amsジャパンを長く率いてこられたカントリーマネージャーの岩本桂一氏に代わり、2020年10月1日より神永眞杉氏が同社代表取締役に就任している(Photo02)。ただコロナ渦ということもあり、これまで記者説明会などを行ってこなかったため、今回の説明会が神永氏のお披露目の場ともなった。
民生・自動車・産業・医療の4分野に注力
まず合併後の同社の状況についてであるが、2021年度の実績は55億ドル超の連結収益を実現予定とされており、光関連半導体メーカーとしては悪くない(というか、かなり良い)部類に入る(Photo03)。
事業内容の分析がこちら(Photo04)で、比較的バランスが取れた構成になっている。旧amsと旧OSRAMの拠点は全世界にある事もあって、合併後は手厚いサポートが期待できそうだ(Photo05)。製造拠点は欧州とアメリカ、それとAPACに置かれている(Photo06)。
さてそのams OSRAMグループであるが、エミッタからアルゴリズムまで、一気貫通のソリューションを提供できることが強みとされており(Photo07)、これを利用して民生・自動車・産業・医療という4分野に対して発光体(Photo08)および光学センシング(Photo09)のソリューションを提供してゆく、という話であった。
日本はIndustry 4.0/5.0、安心・安全、ライフスタイルの3分野に注力
さてここからは製品の話。日本においてはIndustry 4.0/5.0、安心・安全、ライフスタイル、という3つをフォーカスエリアに置いているとされる(Photo10)。
最初の2つは比較的わかりやすいが、3つ目はちょっと目新しい。神永氏によれば、コロナの影響で自粛が続いていたこともあり、その反動で人々は例えばカラフルなファッションであるとか、明るい気分になるような内装とか照明といった方向の製品を志向し始めている。こうしたものに、同社の照明技術が貢献するという話である。
このうちIndusty 4.0/5.0では、まずMachine Visionに向けた近赤外領域で効率の高いCMOSセンサや、VCSELのドットプロジェクタを搭載した3Dセンシングカメラ(Photo11~13)を国際画像機器展に出展する。
同様に安心・安全では農作物育成用LEDと、UV-C照射/モニタリングセンサ(Photo14~16)を、ライフスタイル向けはOSLON Pure 1010およびOSRAM OSTAR Stage(Photo17~18)をそれぞれ展示する。
これまでamsの製品は主に光関連センサだった訳だが、今回OSRAMの買収で発光側のポートフォリオを入手した事で、光関連のソリューション提供を行えるように進化した格好だ。今後の展開が興味あるところである。