米国商務省が世界中の半導体およびそのサプライチェーン上のすべての企業に対して行った世界的半導体不足解決のために有用な各企業の内部データの提出要請は、予定通り11月8日(米国時間)に締め切られた。
米国のバイデン政権は、米国の自動車生産を混乱させ、家電製品の不足を引き起こしているボトルネックを緩和するために、その原因の特定を目指すとして活動してきたが、確たる原因がつかめなかったことを踏まえ、9月末に、強引ともいえる在庫や受注残、納期、調達慣行、増産に向けた企業対応、主要顧客リストなど機微に触れる社内データの提出を世界中の半導体関連企業に要請。その提出期限が11月8日とされていた。
米Bloombergによると、米国商務省のGina Raimondo(ジーナ・ライモンド)長官は、締め切りまでの2週間にわたって、世界中の主要な半導体メーカーのCEOを電話で呼び出し、すべてのCEOにデータ提出を約束させたという。また同氏は、11月8日に「今日受け取ったデータを時間をかけて精査した後、半導体不足の原因を究明できる十分なデータが得られれば、防衛生産法を適用する必要はない。しかし、必要があれば適用することもありうる」とし、その理由について、サプライチェーンの透明性を確保し、どこで滞留が生じているのか、半導体業界で何が起こっているのかを明らかにする必要があるからだと述べたともしている。
台湾ならびに韓国の主要半導体企業(TSMC、UMC、Samsung、SK Hynixなど)は、顧客との信頼を維持することを前提に、顧客情報などを伏せて回答した模様だという。また、台湾と韓国ではこの問題をメディアが連日取り上げていたのに対し、日本ではほとんどのメディアが話題にしなかったが、少なくともルネサス エレクトロニクスはこの調査に協力した模様である。同社は8月に米TeslaのElon Musk CEOが半導体不足で特に問題があるとしてボッシュとともに名指しされていた。
なお、ジーナ・ライモンド長官は11月15日に来日する予定となっている。