半導体需要の世界的な高まりが続き、今後も半導体市場の好況が続くとの予測から、半導体ウェハ搬送機器サプライヤのローツエは、2022年2月期の連結業績について、2021年4月に公表した予測から上方修正を行ったことを明らかにした。
それによると、売上高は従来予測の603億4400万円から7.7%増となる650億1300万円に、営業利益も102億円から同40.7%増の143億6000万円に、純利益は79億円から同38.8%増の109億7600万円と、売上高、利益ともに上方修正されている。
ベトナムでの製造に加え、中国での製造も計画
ローツェは、他社に先駆ける形で1990年代にベトナムに進出し、現地での製造を開始。2000名を超す従業員を雇用し、現在ではグループ全体の従業員の7割以上がベトナムでの雇用が占める状態となっている。
人件費や材料費の安いベトナムに進出し、現地で2000名を超える従業員を雇用して、グループ全体の従業員の7割以上をベトナム人が占めている。ベトナム・ハイフォン市にある同社の7棟の工場は現在、旺盛な半導体設備投資需要からフル稼働状態にあり、来期以降に向けた生産体制の強化が求められる状況にあるという。
また、ベトナムでは新型コロナの感染拡大が問題となっているが、同社の生産体制には今のところ大きな問題は発生していないという。しかし、同社では新たな変異株の出現などを含めた今後の感染リスクに対する予測は難しく、不測の事態が起これば事業の継続にも問題が生じるとの判断から、これまでのベトナム一極集中から、事業継続計画(BCP)の観点から生産拠点の分散を進めるとしており、今後も需要が見込める中国市場への対応に向けて、中国での現地生産を検討しているとする。
すでに同社は中国・上海にセールスオフィスとレンタルクリーンルームを有しており、ベトナムで組み上げをほぼ終えた装置を搬入し、中国国内顧客の要望に合わせた最終的組み立て・調整作業を行っている。計画では、年内にも上海の既存施設での少量生産を開始し、その結果を踏まえ、中国での大規模生産の可能性を検討するという。
過去数年にわたって、地政学的リスクならびに人件費の高騰を嫌って中国からその近隣諸国に半導体関連の製造業が拠点を移す動きがあったが、新型コロナによる移動制限や中国半導体市場の拡大が持続していることなどを考えると、ローツェの今回のような動きをほかのメーカーが追随する可能性もある。
現在、中国は世界最大規模の半導体製造装置市場となっており、Applied Materials(AMAT)や東京エレクトロン(TEL)といった大手半導体製造装置メーカーの売り上げの4割近くを占めるほどとなっている。
なお、ローツェは韓国にディスプレイ向けパネル搬送システム開発・製造子会社「RORZE SYSTEMS」を有しており、今春、龍仁市に新工場を完成させ、主にSamsung Displayからの大型受注に対応を図っているという。