韓国SKグループの化学メーカーであるSKCは、半導体製造向け素材製造子会社のSKC solmicsが、同社にとって2番目のポリウレタン製CMP(化学的機械研磨)パッド製造工場である韓国忠清南道天安市にある天安(チョナン)工場の商業稼働を始めたと発表した。
2020年に470億ウォンを投じて建設を開始した同工場は、年間12万枚のCMPパッドを生産することができるという。2015年、SKCの半導体材料事業グループが200億ウォンでCMPパッド事業への投資を行い、韓国京畿道安城市(アンソン)に月産6万枚のCMPパッド工場を建設したが、増加する需要に対応するため、新たなCMPパッド工場の建設を決定。これにより総生産能力は従来の3倍となる月産18万枚に増加することとなるという。
半導体市場調査機関の分析によると、CMPパッド市場は2023年に1.58兆ウォンに達すると予想されている。現在、CMPパッド市場は米国の2社が世界シェア90%以上を占めているが、技術的および特許上の障壁が高いため、新たに市場に参入することは困難で、材料特性の制御とウェハ接触面の処理に必要な高度な技術を確保する必要があるとされている。SKCの半導体材料事業グループは、2015年に事業を開始して以来、その技術的知識やノウハウの習得に加えて独自の研究開発を進めることで特許取得を含む競争力を確保することができたとする。
具体的には、パッドの細孔サイズと均一性をミクロンオーダーで自由に制御できるため、顧客が望む特性と接触面を迅速に開発・提供できるという。2016年に、タングステンプロセス用のパッドを開発して以降、銅加工用パッドや酸化物プロセス用のパッドを韓国内で国産化することに成功するなど、各プロセスに対応する製品開発を進めてきたという。
なお、SCK関係者は、「天安工場は、韓国が長い間輸入に依存してきたCMPパッドとブランクマスクを生産し、半導体材料の国産化に向けたハブとして機能している。我々は、進行中のグローバルな半導体メーカーの認証評価プロセスを無事に完了することで、グローバル市場での存在感を示し、世界的な半導体材料のサプライチェーンの強化に貢献していく」とコメントしている。