TSMCは7月15日、2021年第2四半期の決算に関する投資家向けテレカンファレンスを開催し、その中で、同社のMark Liu会長が、台湾、米国、中国で予定通り生産能力の拡張を実施すると発表した。
同社が米国アリゾナ州に建設中の5nmファブは、2022年第2四半期に装置の搬入を開始する予定で、2024年第1四半期から月産2万枚(300mm)で製造を開始するとしている。また、米国政府の補助金に関する法案は、まだ連邦議会で審議中であるが、受給に関して楽観視しているとした。
中国南京のFab 16における28nmラインの拡張も、計画通りに進められ、2022年下半期から増産を開始し、その増産分は2023年に月産4000枚(300mm)に達する見込みだとした。
これ以外のグローバルな工場建設・拡張については、いくつかのプロジェクトがあり、すべての可能性は否定せず検討を行っていると述べるにとどめ、具体的な計画は明らかにできる段階ではないとした。
ただし、工場建設が可能な条件として、
- 顧客ニーズ
- ビジネスの機会
- 工場運営の効率性
- コストの経済性
を考慮する必要があるが、海外工場展開は、台湾での製造に比べてコストが合わず、(進出先の)政府と協議する必要があるとしている。
また、投資家から日本に関する質問が出たが、CCWei CEOは、まず日本に設立した3DIC研究センターで日本の多数の主要企業と協業し幅広く3DICを含む後工程の研究を行うことを認める一方で、後工程ファブ設置の可能性についてはまだ検討段階にはないと述べた。
さらに、日本に前工程ファブを設置する可能性については、CC Wei CEOならびにMark Liu会長は異口同音に「Due Diligence(調査検討)を行っている」ことを認め、Speciality Technology(特殊技術)に関するファブであるとした。
ただし、日本での設置に関しては、上記4項目についての詳細な調査段階にあり、まだなにも公表する段階には至っていないとしている。
なお、新たな海外工場建設については、すでに発表している「今後3年間に1000億ドルを投資する計画」には予算が含まれていないとしている。