独バイエルン州のアイバンガー(Aiwanger)経済相が、Intelと半導体工場の建設について協議していることを明らかにしたとロイターが6月18日に報じたのを受け、欧米の複数メディアが続報を伝えている。

アイバンガー経済相はIntelの計画について「強く支持する」と強調し、Intelに対し、ミュンヘン西部の空軍基地跡地を工場建設の候補地として提示したという。

ドイツには多くの自動車メーカーの製造拠点がある一方、現在、自動車産業は半導体不足による生産調整などを余儀なくされているため、ドイツとしても国内における半導体製造能力の増強に向けた工場誘致に関心を示しているという。

Intelは、1980年代からアイルランドにMPUの生産工場を有しているため、同社初の欧州工場という位置づけにはならないが、ドイツに建設される可能性のある工場はファウンドリという位置づけであり、そういった点では米アリゾナに計画中の2つのファウンドリファブに次ぐ3番目、かつ欧州での最初のファウンドリファブとなる見込みである。

なお、IntelのCEOであるPat Gelsinger氏は、2021年4月、Intel Foundryのための半導体工場建設候補地の探索のために、欧州各国を自ら訪れ、ドイツのほか、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグなどを視察してまわっている。その際の欧州での記者会見において同氏は、Intelは税制優遇措置や直接投資などのインセンティブを含む、約80億ユーロ(97億ドル)の補助金の提供を望んでいると語っていた。同氏は、同年3月にIDM 2.0構想を発表した際に、半導体工場が東アジアに偏在しているという地政学的な課題解決のため、Intel Foundry のファブを米国と欧州に建設すると述べていたが、現時点で欧州のどこに実際にファブを建設するのかはまだ決まっていない模様である。