台湾の国営通信社である中央通訊社(Central News Agency)が1月4日付けで、台湾証券界筋の情報として「TSMCは、2021年の設備投資総額を同社史上最高となる220億ドル規模で実施する模様である」と伝えている

台湾証券関係者の多くがこの規模に達するとの見方から、台湾証券取引所のTSMC株は年始の開場後、連日、強い買いを集めており、史上最高値を更新した(2021年1月7日時点)。これに伴い、TSMCの時価総額も過去最高を更新。株価が低迷しているIntelの時価総額の2.85倍に達しており、3倍超も視野に入ってきた。

ただし、TSMCは1月14日に予定している投資家向け説明会で2021年の業績予測や設備投資予算を発表する予定であるため、現在はサイレント期間にあたることから、今回の報道に対するコメントを避けている。

2021年のTSMCの設備投資は、2020年第2四半期に商業生産を開始した最新技術である5nmプロセスの増産と、2022年に大量生産を開始する予定の3nmプロセス向け装置の搬入、そして2nmプロセスの開発を目的としたものとみられる。

台湾の証券アナリストからは、5nmや3nmで1台1億ユーロをかるく超えるEUVを大量に導入する必要があることが、この動きの背景にあるとの見方を示している。また、米国アリゾナ州での5nmウェハ工場の建設も2021年に開始される予定であり、この分の投資も含めれば当然の額ともしている。ちなみに2020年12月下旬、台湾政府の投資委員会は、アリゾナ州に300mmウェハ工場を建設するTSMCの申請を35億ドルの投資として承認している。

なお、TSMCの積極的な設備投資、うわさレベルであるが後工程工場の日本国内設置などが現実のものになるのであれば、2021年は日本の半導体製造装置および材料メーカーにとって大きなビジネスチャンスとなることが期待される。