SK Hynixは11月4日、2020年第3四半期(7~9月期)の決算を発表した。それによると、売上高は前年同期比19%増の8兆1288億ウォン、営業利益は同2.8倍の1兆2997億ウォン、純利益は同2.2倍の1兆779億ウォンと、サーバDRAMとSSDが好調だった前四半期ほどではないが、好調を維持した。

  • SK Hynix

    2020年第3四半期のSK Hynix決算概要 (出所:SK Hynix)

ビット出荷量は増加もメモリ価格は下落

DRAM事業は、モバイルおよびグラフィックスDRAMなどの需要増により、サーバDRAMの需要減があったものの、四半期のDRAMビット出荷数量は前四半期比4%増と伸びた。しかし、サーバDRAMやその他の特定DRAM製品の価格が下落したため、DRAMの平均販売価格は同7%減となった。

NANDについては、モバイル向けと次世代ゲーム機用SSDの両方で売り上げが拡大したこともあり、ビット出荷数量は同9%増となった一方で、サーバ向け製品の価格下落により、平均販売価格は同10%減となった。

同社は第4四半期もモバイル市場で季節的な需要の増加があるとするほか、PC市場も好調が持続すると予想しており、DRAMについては、1Y nm LPDDR5 DRAMの販売拡大によるモバイル需要への対応を図るほか、DRAMと高密度NANDを組み合わせたUFSベースのマルチチップパッケージ(uMCP)市場でのプレゼンスを高める計画としている。また、64GB以上の大容量サーバ製品の販売比率を拡大するとともに、HBMの売り上げを拡大することで、シェア拡大を図るともしている。一方のNANDは、モバイル機器からの需要に対応しつつ、第3四半期より本格販売を開始した128層3D NAND製品の販売比率を高め、収益性を高めようとしている。

Intel NAND事業買収は短期的、キオクシア投資は長期的戦略

SK Hynixの最高経営責任者(CEO)である李錫熙(Lee Seok-Hee)氏は、IntelのNANDおよびストレージ事業の買収について、「主要なSSD技術を迅速に確保し、製品ポートフォリオを多様化するために実施した。Intelは、特にデータセンター向けSSDで競争力があるため、相互補完的な関係を築くことができる。これによりNAND事業を5年後に現在の3倍に成長させる基礎ができ、DRAMとNANDのバランスのとれたビジネス構造の確立を目指すことができるようになった」と述べている。

さらに同氏は、SK Hynixがキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)の上場後に普通株14.96%を取得する予定に関して、「Intelは短期的な効果を狙った投資だが、キオクシアは長期的な視点で投資である」としている。また、同社は売上高の10%以上を占めているHuawei向けメモリ輸出に関して、9月中旬より米商務省の通達により出荷停止し、新たにライセンスを申請しているが11月4日時点で、商務省から許可が下りていないことを明らかにした。

加えて同氏は、「2050年までにすべての消費電力を再生可能エネルギーで賄うことを目指す。汎用SSDと低消費電力SSDは、HDD比でそれぞれ50%と94%の低消費電力性能であり、グローバルデータセンター内のすべてのHDDを低消費電力SSDに置き換えられれば、4100万トンの二酸化炭素排出量を削減できる」と述べ、ESGを通じた社会的価値の創出も図っていくことに意欲を見せていた。