先端半導体研究機関であるベルギーimecは、EUVリソグラフィにおけるレチクルを異物微粒子(パーティクル)から守るカーボンナノチューブ(CNT)ベースのレチクルの有効性を実証したと発表した。

具体的には、複数のCNTベースのペリクル膜をレチクルに取り付けてimecが所有するASMLのEUV露光装置「NXE:3300 EUVスキャナー」で露光することにより、フルフィールドCNTベースのペリクルの製作とスキャナーでの取り扱いが成功したことを実証したという。

試験対象となったペリクルは、最大97%のシングルパスEUV透過率を有している。透過率低下によるイメージングへの影響が低いことをクリティカルディメンション(CD)、線量、透過率の測定に基づいて明らかにできたという。

ペリクルは、半導体製造中にフォトマスクを汚染から保護するために使用される膜であるが、フォトマスクの表面から数mm上に取り付けられているため、異物微粒子がペリクルに付着しても焦点が大きくずれ、デフォーカスになるので回路のパターニングに影響を与えない。波長13.5nmのEUVはほとんどの材料に吸収されてしまうため、このようなEUVペリクルの開発は困難であった。また、厳しい熱的、化学的、および機械的要件を達成する必要があった。このような条件に合致する透明度の高いCNTペリクルは、高度な半導体製造で高い歩留まりとスループットを実現するために重要であるとimecは指摘している。

2015年以来、imecはCNTサプライヤ(CanatuOyおよびLintecof America Nano-Science&Technology Center)と協力して、透過率、熱耐久性、透過率、強度などの特性に関するEUVペリクルの目標を満たす膜を開発してきた。今後は、半導体デバイスを大量生産するに際してスキャナー内でぺリクル膜が許容可能な寿命を確保することに焦点を当てるという。

  • CNTペリクル膜

    EUVリソグラフィ用のCNTペリクル膜 (出所:imec)